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高洪:RCEP各加盟国に「獲得感」を感じさせるように努力すべき


王衆一=聞き手

 

 

——昨年11月、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が締結され、世界最大の自由貿易区が誕生しました。RCEPの成立は中国のレベルの高い対外開放にどんなチャンスをもたらしましたか。第14次五カ年計画の期間中、中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉が順調に進めば、今後の中日関係にどんなプラス影響をもたらしますか。


高洪 RCEP協定の締結は中国のレベルの高い対外開放と質の高い経済発展にとって大きな推進作用があります。中国経済の発展過程で、改革開放は常にけん引と推進の役割を果たしてきました。一方、経済発展が一定の段階に入ると、対外協力の分野、特に地域経済協力の分野でなんらかの問題やボトルネックに遭遇することは否定できません。これもわれわれが積極的にRCEP協定の締結を提唱・推進してきた大きな理由です。


各方面の努力の下、RCEP協定の締結は実現されました。今後の重点は、協定の内容を実践に移し、各加盟国が発展のチャンスを共有し、各国民が着実に恩恵を感じるようにさせることにあると思います。これによって中日韓FTAの交渉が推し進められるとともに、今後の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加盟のためにしっかりとした基盤が打ち立てられると信じています。

——中国が打ち出した「双循環」の発展理念は中日の経済・貿易の発展にどんな新たなチャンスをもたらしますか。日本はどのようにこの理念を捉えるべきですか。

 
高洪 ポスト・コロナの経済回復の過程で、いかにして経済・貿易協力のレベルをさらに向上させるかは中日が早急に考えるべき重要な問題だと思います。これについて、日本社会は意見が二分しているようです。一部の人は、中国は産業チェーンの掌握度が高く、日本はそれに応じて調整する必要があると考えていますが、より多くの人は中国市場の広大な可能性と巨大なチャンスに気付いています。ハイテクや省エネ・環境保護、医療、ヘルスケア・介護、デジタル経済、eコマースなどの分野で、中日はさらに実務協力を広げるべきです。これも両国民の利益と幸福に関わっています。

——これまで、科学技術を巡る中日交流・協力は比較的高いレベルにあり続けてきました。中国が科学技術の強国づくりを加速する中で、中日の科学技術面の協力はどんな新たな進展を見せると思いますか。


高洪 中日は「中日科学技術協力協定」を締結しています。この枠組みの下、両国政府間は閣僚級対話メカニズムを確立しました。そのため、両国の科学技術面の協力は比較的順調に行われてきました。ここ数年、不利な状況もありましたが、双方の科学技術者の交流は年平均10万人を維持しており、両国の経済発展に建設的な役割を果たしました。


国際的な科学技術協力は競争の側面もありますが、協調と相互補完の側面もあります。現在、新エネルギーやデジタル経済などの分野で、中日はすでに協力し始めています。しかし、フォトニックチップのようなハイテク分野では、日本はまだ技術の輸出を制限する障壁があります。とはいえ、科学技術力の向上につれ、中国が多くの分野で「後続ランナー」から「並走ランナー」、ひいては「フロントランナー」になれば、日本も中国との協力に対する視野を調整していくでしょう。今後、中日間の科学技術協力は新たな高みに到達するでしょう。

——中日関係の健全な発展は確固たる民意の基盤なしには語れません。新型コロナの試練を経て、民意の基盤を改善し打ち固める面で、双方はどんな努力が必要だと思いますか。


高洪 国の交わりは民の親しきにあります。特に青少年交流は中日の民間交流の重要な部分です。若者は未来を代表しているからです。民意を打ち固めるには、まず相互理解を深めなければなりません。今の情報社会を生きる両国の若者は独自の交流のルートがあり、互いに一定の理解と同意を持っているが、まだまだ足りません。今後、双方は両国の若者や国民の関係が改善し続けるように、多様な方式とチャンネルによるオンライン・オフラインの交流とレベルの深い協力を行うべきだと思います。


中日間の青少年交流について、双方はそれぞれ自分なりの努力をしてきました。この前、私は数人の政協委員と連名で、レベルの高い青少年交流・協力の展開についての提案を打ち出しましたが、その多くの内容はすでに実現されました。中国外文局と日本のシンクタンク言論NPOが共催する「北京-東京フォーラム」でも青少年交流は活発に議論されたテーマでした。中日友好協会と中国共産主義青年団中央委員会、全国政協外事委員会の多くの専門家も積極的に両国の青年交流プロジェクトの実施を推し進めています。双方の努力の下、両国の相互信頼の問題は根本から解決され、両国関係は長きにわたって穏やかに保たれると信じています。

 

(第13期全国政協委員、中華日本学会会長 高洪)

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