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日本の専門家が見る「両会」(8) 元駐中国日本大使 宮本雄二(談)

不断の努力で日中関係発展を

 

私は今年の政府活動報告の中では、高い水準の対外開放を実行し、多国間主義や国際協力を重視するという項目に特に注目した。今の世界には課題が山積みだ。日本と中国が主導権を握ってそれに対応することで、「アジアの力」を世界に示すべきだろう。日中双方とも、やらねばならないことがたくさんある。黙って何もせずにじっと待っていれば良好な日中関係が訪れると思っているなら、それは大きな間違いだ。両国とも懸命に努力をしなければ、良好な関係は構築不可能だという現実を直視する必要がある。 現在の日中関係におけるマイナス要素は、安全保障という大きな柱が両国の間に立ってしまったということだ。日米安全保障体制があるために米中関係悪化の影響をもろに受けてしまい、日米両国が一体化する傾向を加速させてしまった。日本人は島の問題を中心に安全保障が脅かされていると感じているため、ますます米国寄りになる。よって安全保障の柱の解決にはしっかり当たる必要がある。不測の事態が置きないよう、不必要な摩擦が起きないように、関係当局同士による直接対話を強化すべきだろう。外交努力も必要だ。対話を重ね、日中関係を良好にするには何をすべきかを考えなければならない。

協力で結果を出し、相互信頼を構築

日中関係発展のための積極的な要素は、われわれ自身がつくっていくしかない。過去の安倍首相の訪中や李克強総理の訪日では合意事項を山ほど取り決めたはずで、あとはそれを着実に実施するだけだ。協力して何かを達成すれば、そこに信頼感が生まれるだろう。従って、過去に合意したものの中から最低10項目は実施に移していただきたい。

日中間で協力しなければいけないことは非常に多く、協力して得られた良い結果を両国社会に示すことが大切だ。新型コロナ分野においても協力の余地は少なくなく、両国協力の意向も見られるが、進展が見られない。しかしこれは日本の厚生労働省が新型コロナ対策で忙しく、他国との協力の余裕がないのは事実なので、協力の意思がないというわけではなかろう。ならば多少の余裕がある政府部門が、日中間の合意を動かすべきだ。

そう遠くない未来、日中両国首脳による電話会談が行われるだろう。新型コロナの影響で直接会えないなら、電話会談の機会をより多く設けるべきだ。その際に自国政府が前に進むように促そうという合意をすれば良いと思う。政府同士が交流を行うことで相互理解の努力を図るのは当然だが、国民も交流を強化して相互理解を深め、信頼を持ち得るようにすることが大切だ。

自国の考えや立場、政策を相手国や国民に対してどのように説明するかはお互いの責任で、最も重要なことだ。自国のことを相手国が理解していないと文句を言うのは、意味のない行為だ。自国を相手国の人々に正しく理解してもらうためには、自ら努力するしかない。人的交流が新型コロナで阻害されている今、自国の考え方や政策を相手国にも理解してもらえる言葉で丁寧に説明し、理解を得る努力を従来以上に強化しなければ、良好な日中関係を得るのはなかなか難しいだろう。

関連リンク:  http://www.peoplechina.com.cn/tjk/lh/lh2021/ttxw/202103/t20210311_800239940.html

 

人民中国インターネット版 2021312

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