報道は民意の力を大切に

 

今年、中日双方は中日平和友好条約締結40周年を記念する幕を開けた。中日関係はこの40年間、幾多の風雨を経験し、紆余曲折の中で絶えず発展してきた。この数年間、中日関係は厳しい試練にさらされたが、昨年から好転する兆しが見え、希望がもたらされた。

少し前に李克強総理が無事訪日を終え、中日関係のさらなる発展を力強く推進した。中日関係が安定しながら好転に向かう(8)今日、両国関係が穏やかに、遠くまで進む(9)ことに有利な条件をつくるため、いかに民間の潜在力を掘り出し、深刻なダメージを受けた民意の土台を修復し、強固なものにするか。中日のメディアが大活躍する時が来た。

今年はまた、中国の改革開放40周年だ。改革開放の成果のおかげで、現在、両国の民間交流の幅広さと規模は、40年前と比べものにならないレベルにまでなった。民間外交だけを見ても、従来の友好団体以外、新しい民間組織、各種NGOなども積極的に交流に参加し、ますます重要な役割を果たすようになっている。中国では、パブリックディプロマシーの概念が絶えず人々の心に浸透し、民間交流の主体も多様化する傾向が見られる。これらは中日両国のメディアの報道に豊富な話題を提供した。

 

メディアの役割を再確認

筆者は十数年前から中日メディア関係者対話会に参加し、パネリストの方々と腹を割って話し合い、率直な意見交換を行った。十数年たち、両国の第一線で活躍する各大手メディアの中堅ジャーナリストたちは価値観や報道の在り方に対する考え方が異なるものの、率直な交流を通じて、ある程度は相手の立場を理解でき、向き合って歩み寄る(10)ための環境をつくった。対話会で再三強調した考え方だが、両国メディアの国際関係報道は自国民が相手国を正しく認識し、理解する上で担うべき責任があり、両国の民意の動きに大きな先導的あるいは誘導的役割がある。異文化交流メディア独自の役割を重視し、両国メディアの上層部が対話の取り組みを強化し、実務的かつ実行可能な共同取材記事共有など、さまざまな形でのメディア協力を着実に展開すべきだ。

民意の土台を打ち固め、中日関係が穏やかに遠くまで進むことを確実に保証する上で、メディアができることは多い。現在、メディアの報道で、中日に関するテーマは時事政治、経済、軍事安全保障関係の報道が最も多く取り上げられている。一方、両国民間のポジティブな要素を発見し、増幅させる面で、一部の分野は十分に重視されていなかったりしている。これは中日双方のメディアが直面している共通の問題だ。

テーマの採用においてはバランスと調整に配慮するほか、中日メディア間の交流と協力を促進することがより根本的な措置だ。デジタル技術とインターネットの発達、特にモバイル端末の台頭につれ、人々の情報入手のルートが拡大し、価値のある情報とフェイクニュースが入り混じっている。感情的に、ぞんざいに処理することによって生じたポピュリズムの思潮に伴う偏狭なナショナリズムの意識は、時折中日関係の理性的健全的発展を深刻に妨害し、民意を人質にして民衆の相互信頼を弱める頑迷な勢力にもなっている。いかに異なる考え方のバランスを取り、商業主義や広告至上主義によって受け手に誤解を与えたり、迎合したりすることを克服するか。両国メディアの知恵と良識が問われている。

そのため、対話以外に中日のメディアは別の行動も取るべきだ。コンセンサスを得ている分野から始まり、例えば、災害復興、的確な貧困救済、汚染対応、生態保護、人口高齢化などのテーマを巡って、共同で企画や取材を行い、互いの関心事と利益の共通点を見つけ、条件がそろった場合、メディアの提携を進めることも考えられるだろう。これら全ては、メディア自身が民意の土台を打ち固めた上でできる「インフラ整備」のようなことだ。両国メディアが向き合って歩み寄れば、中日関係の安定好転に大いに寄与できるだろう。(人民中国雑誌社総編集長 王衆一=文)

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