専門家が読み解く李総理の訪日「中日関係や経済協力などをさらに推進」

 

中国社会科学院日本研究所の楊伯江副所長

 

安倍晋三首相の招待を受けて、李克強総理が58日から11日まで日本を公式訪問し、第7回中日韓サミットに出席する。中国総理の公式訪日は8年ぶりであり、中日韓サミットの開催も2年半ぶりだ。この外界の注目を集める話題について、中国社会科学院日本研究所の楊伯江副所長が人民網のインタビューに答えた。

【人民網】中日韓3ヶ国の協力再開は米国の一国主義に対してどのような意味をもつか。

【楊副所長】米国の一国主義に対して、理念的、観念的な抑制になるとともに、実質的なリスクヘッジの作用ももつと考える。昨年117日、習近平国家主席はスイスダボスで開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)で卓越した演説を行い、そこから浮かび上がった核心的思想はグローバル化を擁護すること、中国が自由貿易を擁護することだった。これは理念的に、精神的に自由貿易主義を堅持しようとするものだ。別の観点として、中日韓は世界経済番付で相当上位に並ぶ国々であり、これはつまり経済規模が非常に大きいということを意味する。またこの3ヶ国はそれぞれに外向型発展型経済の国であり、3ヶ国間の協力、協力の中身の拡大、3ヶ国の対外協力の中身、特に貿易投資協力の拡大は、貿易の一国主義にとって実際的な抵抗になるものであり、多国間自由貿易の成分を拡大することにつながるといえる。ここには精神的、理念的側面があり、また実務的、本質的側面もある。

【人民網】李総理の訪日は将来の経済方面での協力を含む中日関係にとって、どのような影響を与えるか。

【楊副所長】大きな促進作用、推進作用をもたらすだろう。日本が20175月から現在にかけて、今はちょうど(1年後の)5月にあたるが、中国に対して発してきた好意的なメッセージのうち、最も大事なものは「一帯一路」(the Belt and Road)に対する態度の変化であり、「一帯一路」に対して好意的な姿勢をみせるようになったことだ。これは第一には日本が自国の利益を考えてのこと、何よりもまず経済的利益を考えてのことであり、つまり日本は引き続き中国の発展成長という急行列車に乗って自国に発展と成長をもたらす必要があるということだが、日本が考える発展と成長はこれまでは主に中国国内に、中国国内市場や中国国内での生産力といった面にとどまっていた可能性がある。だが現在の「一帯一路」は中国の国のドアを飛び出しており、(日本は)中国が提唱した「一帯一路」イニシアティブの枠組内で、二国間の協力を進めたり、「中日+X」として第三国市場での協力を行ったりするようになり、形式的にはいくらか変化した。今回の李総理の訪問は、8年ぶりの中国の総理による日本訪問であり、日本は非常に入念に準備をするとともに、非常に高い期待を寄せている。われわれは日本が昨年、正式に態度を表明し、「一帯一路」に対する方針を変更したのに続き、過去最大規模の経済代表団を中国に派遣したことを知っており、この出来事に非常に深い印象を受けた。これはつまり、経済協力が引き続き日本の最も欲していることだということを示す。よってこのたび強調したいのは、「一帯一路」の枠組内での中日双方の第三国市場における協力が実質的な進展を遂げる可能性があるということだ。重点分野にはインフラ設備、物流、中小企業の改革などが含まれるとみられ、さらには省エネ環境保護プロジェクトなども議題に上るとみられる。(編集KS

「人民網日本語版」201859

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