「北京-東京フォーラム」中日共同世論調査2019結果発表

中日関係、特に国際協力と民間交流の深化へ期待

 

中国外文局と言論NPOが共同で実施した第15回北京-東京フォーラム「中日共同世論調査」の結果が1024日、北京で発表された。中国外文局の高岸明副局長が中日双方の調査データと調査の基本状況、主要な調査結果について説明した。言論NPOの工藤泰志代表、零点有数数据科技集団の袁岳理事長が発表会に出席した。今年の調査結果から、双方の多くの数値は持続して好転しているものの、両国関係発展の民意基礎はいまだ堅固とはいえず、両国の回答者は中日関係をさらに深めること、特に中日両国の国際協力と民間交流の深化に、比較的高い期待を寄せていることが分かった

1.相手国の全体的印象に関しては、持続的に改善しており、現在の中日関係を「良い」とする回答者が続けて増えている。相手国の全体的印象について、「良い」(「どちらかといえば良い」を含む)と答えた人の割合は両国とも増加しており、ここ数年の改善傾向が続いた。中でも日本に対する印象が「良い」(「どちらかといえば良い」を含む)と答えた中国の回答者の割合は、ここ数年で最高の45.9%(昨年は42.2%)に達し、日本のこの数字も好転していて、今年は15%(昨年は13.1%)に達し、同様にここ数年で最高の数字となっている。現在の中日関係をどのように見るかについては、34.3%の中国の回答者が「良い」(「どちらかといえば良い」を含む)」と考えており、昨年の30.3%よりも増えた。8.5%の日本の回答者が「良い」(「どちらかといえば良い」を含む)と答え、同じく昨年の7.2%よりも増えている。

 

2.両国ともに中日関係は重要と認識されており、両国で軍事紛争が起こると思うと答えた人は減少した。中日関係は「重要」(「どちらかといえば重要」を含む)と答えた中国の回答者は67%に上り、日本では72.7%に達した。両国ともに民間交流の重要性が認められている。73%(昨年は74.2%)の中国の回答者が、民間交流は中日関係の促進に「重要」(「どちらかといえば重要」を含む)と答え、日本のこの割合も62.3%(昨年は58%)に達している。民間交流の強化の方法については、「留学生の相互受け入れ」に賛成する回答者は、中国は35%、日本は37.2%であった。このほか、中国の回答者はより「メディア間の交流」(39.7%)を重視し、日本はより文化交流(43%)を重視している。指摘に値することとして、「両国政府間の信頼向上」が中日関係をさらに強化する最も有効な方法であると、ますます多くの人々が考えるようになっていることが挙げられ、中国の回答者のこの割合は38.7%で、2018年の26%に比べ12.7ポイント上昇している。日本の回答者のこの割合は43.6%で、2018年の39.1%よりも4.5ポイント上昇している。領土紛争により軍事紛争が引き起こされる恐れがあると考える人の割合は減少しており、「起こると思う」と答えた中国の回答者の割合(48.3%)は2018年に比べ7.8ポイント減少し、「起こらないと思う」を選択した人の割合(34.3%)は2018年に比べ7.7ポイント増加した。「起こると思う」と答えた日本の回答者の割合(22.8%)は2018年に比べ4.9ポイント減少し、「起こらないと思う」を選択した人の割合(38.6%)は2018年に比べ5.4ポイント増加した。

3.両国の回答者は国際協力強化について高度の共通認識を有し、最も重要な価値観についての認識はほぼ一致している。両国の回答者はともに自由貿易多国間主義が世界経済において重要であるという認識を示しており、中日の国際協力に対する期待が高かった。81.6%の中国の回答者が、多国間主義が今後の世界経済において「非常に重要」(「重要」を含む)と考え、日本のこの割合は72.5%に達している。69.3%の中国の回答者が、両国のアジアにおける国際協力に「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)と答え、日本のこの割合は63.5%に達している。両国ではどちらも多くの回答者が「平和」と「協力発展」を最も重要な価値観として選択し、中国の回答者の43.6%が「平和」を選択し、日本の回答者の59.4%が「平和」を選択した。42.5%の中国の回答者と38.7%の日本の回答者が「協力発展」を選択した。これは双方が最も重要な価値観において高度の共通認識を有しており、両国関係強化の良い基礎となっていることを示している。

4.領土歴史などの敏感な問題が与える影響は依然として大きいが、その程度には低下が見られる。調査データから見ると、領土歴史などの問題はいまだ中日関係の発展を制約する主な障害となっているが、その程度には低下が見られた。中国の回答者にとって、領土をめぐる対立は相変わらず首位ではあるものの、この4年間この数字は落ち続け、2016年の65.3%から2017年の64.7%、2018年の55.3%、今年の51.2%と連続して低下している。日本の歴史認識と歴史教育問題については、2017年の34.8%から、2018年には25.2%に減少し、今年は24%と小幅減になっている。中国の24.7%の回答者が、中日の民間における相互信頼の欠如が中日関係を阻害する主な問題である考えており、昨年の27.6%よりやや減少している。日本の54.4%の回答者が、領土問題が中日関係に影響を与える最も主な要素となっていると考えており、この数字は同様に下落傾向にある(2018年は61.1%、2017年は66.5%)。中日の回答者は、歴史問題はいまだ中日関係の発展に影響を与える重要な要素だと考えている。

5.両国関係の発展の民意基礎はいまだ堅固とはいえず、絶対多数の回答者が本国のニュースメディアから相手国と両国関係に関する情報を得ている。両国の政治関係が昨年以降持続的に改善しているという大きな背景にしては、両国の回答者の数値改善はそれほどではなく、一部の数値では低下も見られ、両国関係発展の民意基礎は堅固とはいえない。中国の回答者が日本に対して、「良い印象を持っている」(「どちらかといえば良い印象を持っている」を含む)と答えた割合は昨年よりも3.7ポイント増えたに過ぎず、日本側のこのデータはわずか1.9ポイントの増加に過ぎない。現在の中日関係は「良い」(「どちらかといえば良い」を含む)と答えた中国の回答者の割合は昨年よりも4ポイント増えただけで、日本の同項目もまた1.3ポイント増加にとどまった。過去1年間の中日民間交流が「活発だった」(「ある程度活発だった」を含む)と答えた中国の回答者は41.6%だけで、昨年の48.6%に及ばなかった。過去1年間の中日民間交流が「活発だった」(「ある程度活発だった」を含む)と答えた日本の回答者はわずか17.2%で、昨年の24%より低かった。今回の世論調査の結果によると、絶対多数の両国の回答者(中国84.5%、日本94.1%)が本国のニュースメディアから相手国と両国関係の情報を得ていると答え、中日両国のメディアが一般大衆の相手国への国民感情に大きな影響を与えていることを見て取れる。両国関係の改善と両国民衆の相互理解の促進に対する本国メディアの貢献については、86.6%の中国の回答者が肯定の態度を示したが、日本のこの割合は26.9%であった。

北京-東京フォーラムの重要な一部として、「中日共同世論調査」は2005年に初めて実施されて以来、両国の民意を反映し、相互理解を増進させる重要な手段の一つとなってきた。第15回北京-東京フォーラムの同調査は、今年9月中旬~10月上旬に中日両国で同時に行われた。

北京-東京フォーラムは中国外文局と言論NPOが共同主催するもので、2005年以来すでに15回が開催されており、現在、中日ハイレベルのパブリック交流プラットフォームの一つとなっている。第15回フォーラムは「世界の繁栄とアジアの平和で中日が背負うべき責任」をテーマとし、1026日に北京で開幕される。中日両国の社会各界から600人近いパネリスト代表が出席し、政治外交、経済、安全保障、メディア、特別などの分科会でさまざまな議題について討論し、両国関係の長期にわたる安定した健全な発展を推進するための共通認識を求める。

 

人民中国インターネット版 20191024

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