中日共同世論調査の分析――新たな歴史的スタート地点で、いかに相手国を見るか

 

中国外文局と言論NPOが共同で実施した第15回北京-東京フォーラム「中日共同世論調査」の結果が1024日午後、北京で発表された。今年発表された調査結果について、中国社会科学院日本研究所の金嬴研究員にその重点データの分析解読をしてもらった。

2019年は国際構造の変化が加速し、世界ガバナンスシステムの深層からの再編という大きな背景のもとで、両国の指導者と社会各界の共同の努力により、中日関係が正常な軌道に戻り、新たな発展を遂げた。現在、世界は百年に一度くらいの大変動の中にあり、中日両国はどちらも発展の新時代に入っている。世論調査の情報を細かく分析し、総合的に研究判断することは、両国民衆の相互理解を深め、互いの意思疎通を強化し、中日関係を続けて前向きに発展させる助けとなり、地域および世界の平和安定繁栄により大きく貢献することになるだろう。

(一)今年の両国民衆の相手国への印象は、依然として中国は相対的に良く、積極的で、日本は相対的に良くなく、消極的な態度にあった。性質から見ると、好印象を選んだ理由の多くは、主に生活レベルや旅行経験、消費体験などの個人的ミクロ的な側面に集中しており、あまり良くない印象を選んだ理由の多くは、侵略戦争領土問題政治体制などの集団的マクロ的な側面に集中している。

(二)両国民衆は両国関係の重要性を高く認めているが、関係発展の現状や今後のすう勢の認識にはある程度の不確定性がある。「政府間の信頼向上」が中日関係をさらに強化するために最も効果的な方法であると考える両国民衆がますます増えていて、ここからも今後意思疎通を強化し、信頼を深めて疑いを解くことは、両国関係の新たな局面を切り開くために重要な現実的意義があるだけでなく、両国が地域や国際関係の中でより積極的で建設的な役割を発揮するのにも役立つだろう。

(三)今年8月、中日両国が7年ぶりに戦略対話を再開したことは、両国の政治相互信頼の増強の表れで、歴史や領土安全保障などの敏感な問題に対し、両国民衆が相対的に安定した態度にあることをも意味している。

 歴史認識の問題については、「歴史問題はほとんど解決しておらず、中日関係にとって決定的に大きな問題である」と、「ある程度解決したが、依然大きな問題である」の割合が両国ともに多数を占めている。しかし、歴史認識問題の解決のうえで、中日両国の多数意見はやはり依然として大きな違いがある。調査結果によると、釣魚島問題を代表とする領土紛争はいまだ過去数年の状態を引きずっていて、両国関係を阻害する主な障害であると見なされているものの、両国民衆の領土紛争を発端とする軍事衝突への憂慮は軽減しつつある。

(四)現在、世界は一国主義の挑戦にさらされ、国際ルールや多国間秩序は大きな衝撃を受けている。中日両国はアジアで重要な国家、そして世界で第2位と第3位の経済大国として、意思疎通と協力を強化し、世界経済ガバナンスシステム改革の正しい方向への発展を推進できるかどうかは、両国の目前にある重大な現実的問題となっている。

 調査データによると、両国民衆は共に、自由貿易多国間主義が世界経済に与える重要性を高く評価している。両国の経済協力の関係については、「相互に補完しており、ウインウインの関係を築くことができる」と答えた人の割合は、中国が日本よりも高く、中国と米国の貿易摩擦が両国関係に与える影響については、中日ともに民衆が最も多く選択したのは、「悪い影響を与える」である。今後の世界経済秩序が開かれた自由な構造を保って発展し続けることができるかどうかについては、中国民衆の態度はより明確で楽観的であり、日本民衆の態度はより不確定的で悲観的である。今後、中日関係の安定した健全な発展を続けて推進していくためには、より多くの両国の共同利益共同の関心を育てていく必要があるだけでなく、尊重し合い、認め合うことなどの面でもより大きな努力をしていく必要がある。

(五)現在、中日両国の大多数の民衆は、相手国や相手国の人々との直接的な交流体験を持っておらず、民間交流には大きな発展の余地がある。このほかにも、中国民衆はよりメディア間の交流を重視しており、日本民衆はより文化交流を重視している。本国メディアの報道が客観的で公平であるか、両国関係改善に対し積極的な役割を発揮しているかについては、中日世論の差は顕著だ。80.4%の中国民衆は本国メディアを肯定しているが、日本のこの割合は14.9%に過ぎない。本国メディアの両国関係改善や両国民衆の相互理解の促進に対する貢献については、中国民衆の86.6%が肯定的な態度を示しているが、日本のこの割合はわずか26.9%である。

人民中国インターネット版 20191025

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