第15回「北京-東京フォーラム」 メディア分科会

正確な情報で相互理解支援

 メディア分科会では、中日両国のメディア界のベテランやニュース報道研究者ら15人が「理性的な相互認識の促進に向けた中日メディアの今日における役割と課題」というテーマをめぐって積極的な討論と率直な交流を展開した。

 「中日共同世論調査」は「北京東京フォーラム」の重要な構成部分だ。この調査は2005年に初めて実施されて以来、中日両国の民意を反映し、相互理解を増進する重要な道筋となっており、各項目のデータもメディア分科会の参加者が討論する重点になっている。金・中国社会科学院日本研究所研究員によれば、ここ数年の調査データから次のようなことが分かる。中日両国の大衆の間には、三つの傾向が存在している。すなわち地理的な位置は接近しているが、心理的な距離は比較的遠い。共通の利益はあまり違わないが、問題解決の意識の差は比較的大きい。東アジア、ひいては世界のために貢献する願望は大差ないが、協力の注目点と方法の差は比較的大きい。各分野での互いの差をどう近づけるかが解決の待たれる問題だという。園田茂人・東京大学東洋文化研究所教授は次のように指摘した。非常に多くの問題で中日双方の違いは大きく、それは情報源の違いと大きな関係がある。中国の新メディアは非常に発達しており、大衆の得る情報は比較していえば割合新しい。日本の大衆は伝統的なメディアから多くの情報を得ており、中国に対する一部の見方は割合時代遅れだ。メディアはこうした非対称性を打ち破るよう力を注ぐべきだ。

 孫宝印・中国中央テレビ(CCTV)ニュースセンターキャスターは次のように述べた。中国の大衆にとって、中日友好は個人の感情や判断を超越した往年の政治的命題から、双方の庶民が体験を通じて自分で考え判断できる現実的問題へとすでに変化している。つまり今日の中日友好はより実務的で、より庶民的なものになった。「中日友好万歳」から「私たちが互いに良い隣人になりましょう」までのこうした認識は改革開放のもたらした時代の進歩を体現している。私たちはいっそう普通の心理状態でこうした現実に向き合う必要がある。

 世論調査の果たす重要な役割を肯定すると同時に、多くのパネリストが改善の意見を述べた。趙啓正・中国人民大学新聞学院院長は次のように強調した。調査方法や年齢の相違などの問題により、一部の結果は完全には民意を体現できていない。今後、調査の分類をいっそう細分化し、回答者の考えを本当に反映させ、より正確なデータを得て、双方の相互理解を増進するためにサポートを提供すべきだ。

どのようにメディアの役割をいっそう発揮し、協力を展開するかについて、パネリストらは次々と意見や計画案を述べた。劉華・参考消息報社ニューメディアセンター副主任は次のように述べた。中日間には共有と交換を必要とする非常に多くの情報がある。メディアは伝達手段やルートとなり、双方に客観的、全面的で信頼できる情報を提供する源になれる。

 王衆一・人民中国雑誌社総編集長は次のように述べた。ポジティブな思考能力はおびただしい情報と事実の断片を組み合わせ、健全なメディア報道を導くことに対して重大な意義を持っている。特に両国の若い受け手に対し、文化的要素の巨大な潜在力を発掘し、共通の文化的価値を探し、ぬくもりのある物語を報道することは、両国の人々が互いの心の距離を近づけるのに役立つ。

 中日双方のパネリストは建設的な対話を積極的に進め、敏感で深刻な問題を避けず、共に関心を持つ話題について、互いに説明して困惑を取り除き、相互の理解と信頼を増進した。また、新メディアが急成長し、受け手の意識にかつてない変化が起きている背景の下で、報道の効果を改善する方法を研究し討論した。

 

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