第15回「北京-東京フォーラム」 安全保障分科会

協力して地域の平和構築を

 中国と日本は同じアジア太平洋地域の重要国家として、安全保障の共通の利益を有し、アジア太平洋と世界の安全保障を確保する共同の責任も担っている。安全保障分科会では、陳小工・元中国共産党中央外事弁公室副主任、宮本雄二・元駐中国大使ら13人が「北東アジアの安全と平和秩序を構築する中日の責任」のテーマをめぐって対話を繰り広げた。

 パネリストたちはおしなべて次のように考えていた。両国共同の努力の下で中日関係はすでに正常な軌道に戻った。中日の艦艇が相互訪問を再開し、海空連絡メカニズムの運用が正式に始まり、防衛交流が進展したことは喜ぶべきだが、安全保障関係は依然として中日関係の弱点だ。その上、中米関係や朝鮮の核問題、米国の中距離核戦力(INF)全廃条約破棄などの要素が影響し、全体的に安定していた東北アジアの安全保障情勢はなおもリスクに直面している。中日は協力を強化し、リスクを管理しコントロールし、協力の可能性を広げ、より多くの共通の利益を探し、共に地域の平和と安定を守るために貢献を果たさなければならない。

 張沱生・中国国際戦略研究基金会学術委員会主任は「防衛事務・安全保障に関する次官級の年次協議をできるだけ早く再開し、両国の陸海空部門の対話と交流、ならびに海上での捜索救助、対テロ作戦などの合同演習を適時に一歩一歩展開すべきだ。グローバルガバナンスと非伝統的安全保障での協力を推し進め、朝鮮半島非核化での協力を繰り広げ、シーレーン(海上交通路)の安全保障を共同で維持すべきだ」と提言した。

 中国の駆逐艦「太原号」が10月の日本訪問中に台風19号の被災者を見舞う横断幕を掲げたことに対し、中谷元・元防衛大臣は強い印象を受け、これによって市民は中国側の善意を感じたと考えた。彼は「両国は一国主義とポピュリズムへの迎合にノーと言うべきだ」と述べた。

 朝鮮の核問題では、中日両国が協力を強化し、六カ国協議の再開を促進すべきだとパネリストたちは判断した。米国のINF全廃条約事件では、日本側は憂慮を表明し、中国側パネリストは中国側の立場を真剣に説明し、自衛・防御を堅持して最初に核兵器を使用しない政策を重ねて明らかにした。

 香田洋二・元自衛艦隊司令官は目下の不安定な中米関係の現状について、日本は喜んで中米間の使者になると述べた。中国側パネリストは中米関係の中で将来日本が建設的な役割を発揮するよう希望すると同時に、中米両国の防衛当局が軍事面の対話と交流の面で最近獲得した成果を日本側に紹介した。

 双方はこのほか、平和維持要員の研修協力、慎重な取り扱いの不要な軍事分野の交流、海洋資源の共同開発・保護などのテーマで意見を交換し、不一致を解消するとともに、双方の共同の責任と協力についてさらに検討した。姚雲竹・中国人民解放軍軍事科学院国家ハイエンドシンクタンク学術委員会委員は「これは中日関係が多くの困難を経験した後、新時代の要求に合致する方向で発展していることを示している」と述べた。

 

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