第15回「北京-東京フォーラム」  経済分科会

開放的で誠意ある姿勢で協力を語り合う

 今回の経済分科会では、中日両国の経済学者や企業経営者たちは、「世界における開放的で自由な貿易体制の強化と多国間協力の発展に向けた中日協力」というテーマをめぐって、積極的な討論を行った。

 WTO体制が開放・自由貿易・多国間協力といういくつかのキーワードの基礎として、パネリストたちがまず討論を行ったテーマとなった。東京大学公共政策大学院特任教授の河合正弘氏は、「WTO改革には二つの問題点があり、一つはWTOのルールは前世紀に制定されたものであり、現在のグローバルサプライチェーンの需要に適応させるために、改革が必要とされる対象が、物流から知的財産権などあまりにも多くの分野にわたること。もう一つは、現行のWTOの政策決定メカニズムでは素早い決定が難しいことだ」と指摘した。

 まさにこうした問題のため、地域貿易協定がWTOの補完としての重要な役割を担うことになる。中国側パネリストたちは、中日韓自由貿易区、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日本主導の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に積極的な態度を示した。中国・グローバル化センター(CCG)秘書長の苗緑氏は、「CPTPP21世紀に向けたハイレベルな地域貿易協定だ。日本が積極的に中国の加入を要請すれば、この協定と『一帯一路』イニシアチブの連動を促進することができるだけでなく、同時にこの協定の自由貿易に対するハイレベルな要求が、逆に中国の改革を推進させることになるだろう」と考えている。

 よりハイレベルな開放によって中国の改革を促すということは、中日のパネリストに共通する観点だった。高偉達ソフトウェア株式有限公司理事長の于偉氏は、企業の視点から中国の経済開放の体験を語った。「2年続いた中米貿易交渉では多くのマイナス影響がもたらされたが、一つ良いこともあった。それは中国の対外開放の態度がより確固たるものとなり、自分自身の発展モデルもまた改めて考え直され、検討されたことだ」

 中米貿易交渉において世界の注目を受けた華為(ファーウェイ)も、この分科会に代表を送った。華為技術有限公司公共・政府関係副総裁の周明成氏は、「グローバルサプライチェーンが高度な一体化を遂げつつある現在、各国の協力は不可欠であり、華為は外部が心配するように米国との関係を断つつもりはない」と語った。彼は発言の中で、中日協力の緊密性と重要性を強調した。「最新型の華為のスマホP30ProMate30Proを例にとると、53.2%の部品が日本から調達したものだ。ここからも、中日のサプライチェーンの緊密な関係が分かるだろう。今年、われわれは日本ですでに昨年の第1~第3四半期の合計を超える買い付けを行っており、その額は8700億円にものぼる。今後双方は、デジタル・金融などの各方面でさらに大きな協力の可能性がある。われわれは積極的に製品開発協力を行い、共に世界市場へと向かうべきだ」と語った。

 中国の銀行業と多くの第三国市場協力プロジェクトを行っている三井住友ファイナンシャルグループ社長の太田純氏も同様に、中日協力に対して期待を寄せている。「われわれが中国企業・金融機関と行っている第三国市場投資協力プロジェクトはますます増加しており、今後は全世界において、中日の第三国市場協力もまた、ますます重要なものとなるだろう。しかし現在、中日間には、いかにしてプロジェクトを推進し、いかにしてリスクを査定するかの方面における意見の相違が見られる。今後、双方は人材交流を強化し、より多くのコンセンサスを得ていくべきだ」と語った。

 

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