正常化で得た三つの啓発

 

  中国と日本が国交正常化を果たしてから45年がたった。両国関係の未来に向き合ったとき、過去45年間の両国関係の発展と変化はわれわれにどのような啓発を与えてくれただろうか?

自身の核心的目標をつかむ

 中日国交正常化の歴史はまず、隣国関係の発展には自身の核心的目標をしっかり押さえる必要があることをわれわれに認識させた。

 世界銀行が発表した2016年の世界主要国の国内総生産(GDP)データでは、米国が18を超えて、世界経済全体の2432%を占めた。中国は約11で、世界の1484%を占め、日本は約43800で、世界の591%を占めた。数字を見ると、中国のGDPはすでに日本の2倍以上になっている。しかし、中国の1人当たりのGDPの世界順位は69位に過ぎず、日本は25位だ。これは中国が、全体的な国力は強いけれども個人所得の水準は高くない状態にあることを説明している。そのため、国民の生活水準のさらなる向上を求めることが、依然として中国政府の主な発展目標なのだ。

 しかし、主な発展目標のほかにも、例えば富強民主文明調和の社会的局面を構築することなど、中国には別の利益の追求がある。

 そのため、中国は隣国との関係発展を含む外交政策を決定するとき、国家の核心的目標をしっかりと把握し、それを出発点として、中日関係や中米関係、その他の国との関係を発展させることを、中国が核心的目標を実現するための最も有効な外部資源として、いかに利用し、発揮させるかを考える。同様に、日本もこのようにする。従って、中日関係を扱うときには、両国の発展の核心的目標を考慮に入れなければ、両国関係の動向を見極めることはできない。

食い違いを妥当に処理

 中日国交正常化がもたらした第2の啓発は、中日両国が食い違いを妥当に処理する必要があるということだ。私が思うに、中日間の問題は以下のいくつかの方面に要約できるだろう。一つ目は、中日間に存在するいくつかの歴史的事件の位置付けの問題で、それらが結局のところ善なのか悪なのか、正しいのか間違っているのか、白なのか黒なのかということだ。二つ目は、われわれのこれらの事実に関する説明が本当かうそかということ。三つ目は、両国間に立場の相違から来る客観的な食い違いがあること。四つ目は、45年間に中日両国が当時の歴史的背景の下で行ったいくつかのことを今後に置き換えるとき、いっそう精密化規範化しなければならず、中日関係にも現代化の使命があること。

 例えば、中日両国の戦後の国際秩序観には相違がある。中国から見れば、「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」が戦後国際秩序を構成する法律的基礎だが、日本が強調しているのは「サンフランシスコ講和条約」だ。そのため、中国はUnited Nationsを「連合国」と翻訳し、その意味は連合した国家で、英語の原文に比較的合致している。一方、日本では「国際連合」と翻訳し、国連ともいう。「国際連合」では、当時の連合軍がドイツ日本イタリアのファシズムと対抗し合った歴史のありさまを消し去ってしまっている。日本は1933年に国連を脱退した歴史的教訓をくみ取り、戦後外交では国際協調を強調しており、原則は正しいと思う。しかし、国際秩序観の違いにより、「日本の国際協調は一体国際社会の中の誰との協調なのか」「米国のみとの協調なのか」「周辺諸国やアジアの隣国との協調はしないのか」という一連の問題が引き起こされるのである。

 また、中国の台湾問題をめぐり、少数の日本人が「台湾地位未定論」を支持し続けている。最近では、2009年5月、日本交流協会台北事務所の斎藤正樹代表が台湾中正大学の学術フォーラムに出席した際、再度、「台湾の地位は未定」と述べた。だが、1972年の「中日共同声明」において、日本政府はすでに中国政府の立場を十分理解し、尊重し、併せて「ポツダム宣言」第8項に基づく立場を堅持すると正式に表明している。2007年1228日、福田康夫首相は温家宝総理に対して、日本側が1972年の声明で表明した立場を堅持し、「二つの中国」あるいは「一中一台(一つの中国、一つの台湾)」を唱えず、「台湾独立」を支持せず、台湾の国連加盟を支持せず、台湾当局が国連加盟の住民投票を行うことも支持しないとさらに言及した。これが日本政府の正式な立場あるいは一貫して堅持する立場なら、われわれはこれを明文化すべきだ。中日間で双方がすでに合意したいくつかの問題については、さらに精密化規範化する必要があり、いいかげんに、適当に処理してはいけない。

コミュニケーション実現

 中日国交正常化がもたらした第3の啓発は、中日間に有効なコミュニケーションを実現する必要があるということだ。「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」という孔子の言葉がある。いわゆる天命とは、時代の潮流、法則、大勢だと思う。われわれは国際関係に影響を与える要素が今まさに大きく変化するのを目にしている。45年間に、中日両国の国情にも巨大な変化が起こった。

 2002年、日本の大人気グループSMAPが『世界に一つだけの花』という曲を歌った。この曲は人々から非常に注目されたが、その歌詞は、日本の若者の価値観が過去のナンバーワンの尊重からオンリーワンの尊重に変わりつつあることを示していた。

 両国の総合的な国情に基づいて、われわれは相手側の動向について全面的客観的な判断をすべきだ。これには相互の有効なコミュニケーションの実現が必要である。中日国交正常化45周年に際して私が強調したい点は、中日が国家間の外交の強化から社会の交流の促進へ向かわなくてはならないということだ。広範な国民を主体として、広く深く、異なるレベルで、各分野の交流を相互に展開する。これはわれわれがよく言う「国の交わりは民の相親しむにあり(8)」に合致する。中日関係発展のキーポイントは、民の相親しむにあり、未来もまた民の相親しむにある。

 また、経済協力は中日が商業的利益を得る現実的手段であるだけでなく、互いの共同利益を強化する絆でもある。互恵の経済協力は中日両国にとって、一種の有効なコミュニケーションでもある。それは中日関係の安定した健全な発展のために、戦略的な保障効果を発揮するだろう。

 

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