第17回「北京-東京フォーラム」閉幕

1026日、第17回「北京-東京フォーラム」が閉幕した。2日間の会期中、政治外交、経済、安全保障、メディア、デジタル、国際協調の分野から参加した中日両国のパネリストは、「不安定化する世界での中日関係と国際協調の修復―国交正常化50周年に向けて―」というメインテーマを巡って率直な交流と踏み込んだ議論を繰り広げ、両国が共に百年来の大変動期と世紀のパンデミック(感染症の世界的大流行)による影響に対応し、新しい時代の中日関係の新たな枠組みをつくり出すために、知恵を貢献し、幅広いコンセンサスを得た。

基調講演を行う国家発展改革委員会の蘇偉副秘書長

 

閉幕式の全体会議で、国家発展改革委員会の蘇偉副秘書長は基調講演を行った。蘇氏は、中国経済の動きと中日の経済貿易協力の現状を全面的に紹介した上で、次のように指摘した。一連の実際のデータは、両国の経済貿易協力の強じんさや相互依存、互恵ウインウインの本質的な特徴を余すことなく示している。感染症による多方面への影響があったものの、両国の経済貿易協力は大きく進展しており、将来的にも期待できる。中国経済の着実な回復は中日の経済貿易協力に新たなチャンスをもたらした。中日はグリーン低炭素化の分野で協力する潜在力が大きく、明るい未来がある。双方は相互信頼を強化し、向き合って歩み寄り、両国の指導者の重要な共通認識を指針とし、多国間主義を共に擁護し、肩を並べて各種のリスク試練に対応し、新時代の要求にふさわしい中日関係の構築を共に推進すべきだ。

 

あいさつする孔鉉佑駐日本中国大使

 

孔鉉佑駐日本中国大使と垂秀夫在中国日本大使は閉幕式であいさつした。孔大使はあいさつで次のように指摘した。現在、百年来の大変動は深くまで進み、新型コロナウイルス感染症は人類社会を大きく変えつつあり、世界は新しい不安化し、変革期に入った。このような複雑な時代背景の下、中日関係は新たな十字路に立ち、まもなく国交正常化50周年という重要な節目を迎える。われわれは過去を総括し、現在を把握し、未来に目を向けて、中日関係を地域と世界の枠組みに置いて捉え、より堅固な戦略的相互信頼を醸成し、よりレベルの高い互恵ウインウインを実現すべきだ。また、よりしっかりとした民意の基盤を打ち固め、より建設的な多国間協力を行い、新時代の要求にふさわしい中日関係の構築という政治面の共通認識を現実に具現化し、両国関係の新たな前途を切り開いていくべきだ。

 

あいさつする垂秀夫在中国日本大使

垂大使はあいさつで次のように述べた。両国の首脳がこのほど達した共通認識は日中関係の発展に正しい方向性を示し、良いスタートを切った。ポストコロナや来年の日中国交正常化50周年に向けて、両国は当時の国交正常化実現のような戦略的構想を共に考案し、相互信頼、相互尊重し、両国民の相互理解と相互支持を促すべきだ。

 

閉幕式では分科会報告が北京と東京の両会場で行われた。写真は北京会場

 

閉幕式では、中日のパネリストが各分科会の議論について総括した。

経済分科会について、山口廣秀元日本銀行副総裁は、中身豊かで、充実な議論が行われたと述べた。さらに、双方とも世界経済に現れた地域化とブロック化の傾向やサプライチェーンの分断などの問題について一日も早く修復再構築を図らなければならないと考えている、と総括した。

国家発展改革委員会学術委員会の張燕生研究員は次のように補足説明を加えた。中日のパネリストはまた、将来的に世界経済の重心は東に移動する可能性があり、世界の需要、供給、イノベーション、サービス、資本、金融通貨協力などの分野に関わってくるという共通認識に達した。中国と日本は戦略的相互信頼と協力を実現できれば、新しいグローバル化およびアジアと世界の経済復興を推進するエンジンになるだろう。

国際協調分科会について、中華日本学会の高洪会長はパネリストたちの主な観点を取り上げ、次のように指摘した。国際ルールの順守は、いかなる大国であってもルールの破壊者ではなくルールに揺るぎなく従う者になることを前提としている。国際ガバナンス体系と国際ルール体系はもっぱら発展途上国を対象とするではなく、大国に規制をかけることに重点が置かれているのだ。

神子田章博NHK解説委員室解説主幹は次のように意見を述べた。主要7カ国(G7)の枠組みでは気候変動や高齢化などの世界的な課題に対応しきれなくなっている中で、各国は政策的協調の面で、環境を破壊しない前提で経済的協調を図り、新しいルールを共につくり出すことができるだろう。また、「北京―東京フォーラム」がつくった自由に声を上げる場は両国の友好関係にプラスであるという考えを述べた。

デジタル分科会について、岩本敏男NTTデータ相談役は次のような感想を述べた。双方のパネリストは人工知能(AI)技術や仮想通貨、サイバーセキュリティーなどの内容を巡り、打ち解けた雰囲気で議論を行い、まだまだ語り足りない感じがした。腹を割った交流によって、互いへの理解が深まった上、共にデジタル技術の発展や業界のルール作りに取り組むという共通認識ができた。

科技日報社の許志龍総編集長は中日のパネリストによる三つの提言を述べた。①新技術や新製品、新モデル、新業態での中日協力を推し進め、優位性を発揮し、互いに補完し合う②前向きな声を伝え、両国のデジタル経済がより多くの実益をもたらすよう後押しし、関連産業チェーンで互恵ウインウインを実現する③アジアのデジタル文明が世界に恩恵をもたらすよう、多国間メカニズムで積極的な役割を果たす。

メディア分科会について、人民中国雑誌社の王衆一総編集長は次のようにまとめた。双方のパネリストたちは現実に立脚し、未来を見据え、率直かつ活発な議論を行った。パネリストたちは国交正常化50年の道のりを振り返り、経験や教訓を総括し、建設的で安定した中日関係の進むべき道を共に探った。双方は世論調査の結果に基づき、メディアの責任と使命について見解を述べ、さらに民意の基礎の改善や、中日が向き合って歩み寄ることについて具体例を挙げ、多くの建設的な提言を出した。

東京大学大学院総合文化研究科の川島真教授はこう述べた。双方は、自国民が相手国を理解する上でのメディアの重要な役割を共に認識している。そのため、両国のメディアは直接的な交流を行い、互いの立場と関心事について意見を交わす必要がある。

安全保障分科会について、元駐米大使の藤崎一郎氏は次のように述べた。パネリストはそれぞれ関心を持つ地域の安全保障課題を巡って率直に意見を交わし、共同対応に向けて議論を行った。また、戦略的相互信頼を増進し、安全保障のリスクを下げるために、日中両国がハイレベルの戦略的対話および自衛隊と解放軍の幹部の相互訪問を行うことを望んでいる。

北京大学国際関係学院の帰泳濤副院長は次のようにまとめた。双方のパネリストは、伝統的安全保障の課題と新たな関心事を巡って十分かつ活発な議論を行った。これは中日が共通の関心と利益を持つことを示している。双方は、中日がこれらの面で交流と協力を深め、国際社会の新たなルールを共につくるべきだということで一致した。

政治外交分科会では、パネリストたちは国際地域情勢および中日関係の進むべき方向について議論を行った。中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長は、双方は建設的な議論ができたと述べた。パネリストは、中日国交正常化50周年を契機に、初心に立ち返り、原点を守り、起点をつくり、未来を見据え、中日関係が健全かつ安定して持続可能な発展の軌道に乗るよう後押ししようと呼び掛け、四つのアドバイスを出した。①歴史と文明の高みに立ち、アジアと中日関係のビジョンを共に検討し描く②中日青年交流を大いに推し進め、とりわけ若手研究者同士の交流を大切にする③多国間主義を堅持し、互いに約束を守り合い、政治的コンセンサスを実行に移す④包括的協力の展開を前向きに検討し、地域と世界の平和安定繁栄進歩に貢献する。

言論NPOの工藤泰志代表は、日中には対話と交流が必要だが、コンセンサスとビジョンも必要で、より重要なのは、私たちは素晴らしい理想に向かって行動し、そのビジョンが将来両国関係の現実となるよう取り組むべきだと述べた。

 

「北京コンセンサス」を発表する中国外文局の高岸明副局長兼総編集長

 

その後、中国外文局の高岸明副局長兼総編集長は「北京コンセンサス」を発表した。同コンセンサスは、今回のフォーラムに出席した中日両国のパネリストの知恵を結集した重要な成果であり、中日関係が健全かつ安定した発展を維持する上で積極的な役割を果たすだけでなく、国際協力推進のけん引、グローバルな課題の解決のために東洋の知恵を貢献するものだ。

閉幕式の最後に、高副局長は次のように述べた。来年は中日国交正常化50周年で、新たな歴史的起点は私たちにとってチャンスでありチャレンジでもある。私たちは日本側主催者の言論NPOと共に、中日両国の有識者が友好や協力、未来を存分に語り合うより良い場をつくり、より良い対話の環境をつくり出すよう努力し、大切な民間の力で新時代の中日関係が長期的かつ安定的な発展を遂げ、新たな一章を記すよう後押しする。

17回「北京―東京フォーラム」は大きな成果を上げて幕を閉じた。

 

閉幕式後、中日双方は北京と東京で共に記者会見を行った

 

(文=沈暁寧 写真=沈暁寧 董芳 王朝陽)

 

人民中国インターネット版 20211028

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