調査結果を分析し関係発展を推進

17回「北京―東京フォーラム」の「中日共同世論調査」の結果が先日発表された。今回のフォーラムの世論調査に関するセッションにおいて、中日のパネリストは調査結果を巡って踏み込んだ分析を行い、どのように両国間で安定的建設的な関係の発展を推進するかについて、具体的な意見を提起した。

 

 

北京と東京の二つの会場でビデオを通して交流する世論調査に関するセッションの中日パネリスト

 

若者や有識者同士は互いに好印象

今回の中日共同世論調査に関するセッションは、この調査が17年間実施されて初めて行われたもので、双方のパネリストが調査データについて踏み込んだ分析を行った。今回のセッションの中国側司会者、高岸明中国外文局副局長兼総編集長は次のように語った。「中日国交正常化50周年を目前に控え、私たちは世論調査の結果を深く掘り起こして、調査データを全面的に分析することにより、メディアと両国民が調査結果を全面的に理解できるようにし、それを基礎として、どのように両国間の安定的で建設的な関係を推進するか、人々の福祉と地域の繁栄に貢献するかについて検討していきたい」

金瑩中国社会科学院日本研究所研究員は次のような考えを述べた。今回の世論調査の結果は、中日両国の一般大衆の間に比較的大きな「時差」と社会的距離があることを示した。回答者のうち、最近2~5年以内に日本を訪れた中国人は大多数を占めているが、日本人では、11年以上前に中国を訪れた回答者が大多数で、これは双方の相手国に対する認識に「時差」があることを示している。このほか、中日両国は交流の歴史が2000年以上ある隣国同士なのに、8~9割の回答者に、相手国の国民との実際の交流がないというのは、「体は近いが、心は遠い」と言わざるを得ない。

しかし、金瑩氏は、調査結果に対して過度に悲観する必要はないとも強調した。なぜなら、「日本側のデータからは、相手国と両国関係に関する情報を手に入れるルートおよび中日米関係に対する判断において、有識者と一般大衆では比較的大きな違いがあることが分かる。日本側の有識者が情報を得るルートはより多様で、彼らのうち中国に対して好感を抱いている人は4割近くいて、日本の一般大衆よりも多い」からである。

袁岳零点有数デジタル科技集団董事長は、「中日両国は直接的な人と人との交流、インターネットを通じた相手国の情報の取得、従来のメディアによる相手国に関する報道、この三つの分野において不均衡が見られるが、そこには大きな改善の余地がある」と述べ、次のように分析した。世論調査の結果は、若者の相手国に対する好感度のレベルが、中高年の回答者とは明らかに異なり、全体的に見てより積極的であることを示している。これは一つの重要な特徴を反映している。つまり、若者の情報取得の方法は多様であり、インターネットや、自身および友人が国境を越えて学んだり、働いたりするなど直接的な交流に頼る程度が比較的高く、ここから態度の積極性と情報取得の方法は相当大きな関係があることが分かる。

今回のセッションの日本側司会者、工藤泰志言論NPO代表は、今回の世論調査は、中米摩擦という背景の下ではあったが、両国民はどちらも対抗を追求せず、協力を求めたと強調した。

川島真東京大学大学院総合文化研究科教授は次のような考えを述べた。感染症流行の影響を受けて、日中両国の民間交流と双方の協力は大幅に減少した。両国の首脳が電話会談を行い、重要なコンセンサスを得て、両国メディアもこれについて報道したが、効果はまだ一般世論の環境の中には反映されていない。それでも、日中関係が重要だと考えている日本の回答者が大多数を占め、しかも、その割合が昨年より上昇していることは、軽視できないことだ。

 

議論をする双方のパネリスト

協力の強化と青年の交流が重要

坂東賢治毎日新聞社論説室専門編集委員は次のように指摘した。今回の世論調査の結果は、過半数の日本の回答者が中米の間でどちらかにつくことを望まず、多くの回答者が日中協力を推進し、日中関係の安定的な発展を実現したいと思っていることを示した。つまり、両国がどのように具体的な協力を展開するか、国民にこの点をしっかりと分かってもらうことが、両国民の関係改善に非常に重要ということだ。

工藤氏は次のように述べた。今回の世論調査は、一般大衆の直接的な交流の強化に対する願いを反映し、また、両国民が相手国に対して持っているいくらかの疑念も反映している。このような状況に際して、両国は簡単で表面的な対話にとどまるのではなく、深い対話を強化し、誠実な協力を展開しなければならない。

袁氏は次のように指摘した。近年、両国は青少年交流を十分に強調してきたが、青少年間の交流形態は参観や文化交流に多く集中しており、しかも少年の割合がより多かった。現実から見て、青年の交流、特に例えば青年科学者の対話などの建設的な活動は、小さくない影響力を生み出せるだけでなく、両国の民間交流の形態をさらに豊富にすることもできる。(文=李家祺 写真=董芳 王朝陽 李家祺 南部健人)

 

人民中国インターネット版 20211028

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