政治や国際協調巡り討論 北京―東京フォーラム分科会

1025日午後、第17回「北京―東京フォーラム」は「政治外交」「国際協調」の二つの分科会を開催した。中日双方の政界、経済界、学術界などの有識者がオンラインとオフラインを組み合わせた形式で対面し、中日両国の相互信頼強化、コンセンサス形成、協力実施を巡って率直に交流し、活発に討論した。

 

 

 

 

分科会で発言する中日双方のパネリスト

 

国際的な視野で現状語る

過去百年になかった変動と百年に一度の感染症流行の影響下で、中日両国は現在多くの共通の課題に直面しており、二国間関係にはチャンスと試練が同時に存在している。政治外交分科会では、「不安定化する世界やアジアにおける中日の役割」をテーマに、双方のパネリストがより高い国際的な視点で中日関係の現状と発展を見つめた。

中国国際交流協会の劉洪才副会長は冒頭で次のように述べた。大きな変化の下、中日両国は多国間主義を実践し、共通の試練に対処しなければならない。また、政治的なコンセンサスを順守し、「小異を残して大同につく」を実現し、全方位の協力を展開し、共通の利益を拡大しなければならない。来年は中日国交正常化50周年だ。双方はこれを契機としてチャンスを捉え、習近平国家主席と岸田文雄首相の電話会談で得た意思疎通の強化、計画の強化、交流の強化、協力の強化というコンセンサスを真剣に実行し、両国関係の新たな発展の前途を切り開かなければならない。

中国翻訳協会の周明偉会長は一歩進んで次のように指摘した。近年、中米関係には矛盾と困難が存在しているが、中国側は「衝突せず、対抗せず」の方針を依然として堅持している。中国の発展が求めているのは、相互尊重と協力ウインウインだ。日本側の友人が中国の発展を理性的に捉え、中日米関係を適切に処理し、地域的世界的な経済大国の役割を発揮するよう希望する。これは日本が政治大国になるために必要なことであり、新時代の中日関係を構築するためにも必要なことだ。また、これは中日両国が互いにパートナーの関係になり、互いに脅威にならないために必要なことであり、中日が地域ガバナンスとグローバルガバナンスを共同で新たなレベルに導くよう押し動かすためにも必要なことだ。

中国の急発展やグローバルガバナンスでの重要な役割を前に、猪口邦子参議院議員は次のように語った。中国にはアジア地域を平和と繁栄に導く実力があり、その責任もある。アジアの国々は長期にわたって国際ルールの追随者だった。この時代に中国が国際ルールの策定者になり、気候変動や貧困削減などの世界的な問題への対処において、国際社会の進む方向をリードするよう希望する。

東京大学公共政策大学院の高原明生院長は次のように主張した。日中双方は真剣に話し合い、アジア地域の未来の発展のために共同で青写真を描き、将来の目標を確定し、この目標実現のために共に努力すべきだ。

中日友好協会の程永華常務副会長はこの主張に賛同し、次のように述べた。高原教授が提言した地域の長期計画の共有は十分に可能だ。日本の利益と中国の利益をそれぞれ二つの円として描くと、その中間には重なる部分がある。それこそが双方の共通の利益で、私たちはそれを拡大しなければならない。中日両国は互いの間だけでなく、アジア地域においても協力可能なことが数多くある。双方は共に努力し、平和的、安定的で、かつ繁栄が実現できる二国間関係とアジアを構築すべきだ。

中国留学人材発展基金会の曹衛洲理事長は次のように話した。来年は中日国交正常化50周年だ。社会的に影響力があり、実質的な内容のある活動を特に双方の青年交流分野で実施すべきだ。来年、中日両国の影響力のある青年組織の責任者と若干の青年リーダーを集め、中日友好関係の未来について共に議論してもらうよう提言する。

2時間の交流と対話は活発で、精彩を放っていた。分科会の最後に中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長は次のように総括した。中日関係はアジアの未来に大きく影響を与える。中日国交正常化50周年を前に、私たちは両国の青年交流を奨励し、積極的な態度で未来を考えるだけでなく、新エネルギー分野などの協力を展開し、両国関係を安定させるための基盤を着実に突き固めなければならない。

 

 

 

北京と東京で同時に開かれた国際協調分科会

 

気候変動や地域経済で協力を

今回のフォーラムで新たに設けられた国際協調分科会では、中日のパネリスト10人が「コロナ後の世界と国際協調の修復で中日はどう貢献するか」とのテーマで熱心に議論した。双方は2時間の議論の中で、主に気候変動への対処と地域経済協力の推進について深く意見交換した。

中国公共外交協会の胡正躍副会長は次のように語った。中日は東アジア協力の提唱者、推進者、受益者だ。コロナ後の時代に中日は東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が観光業を盛り返すのを助け、手を取り合って「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)イニシアチブや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの経済協力を推し進め、公衆衛生や人的文化交流などの地域協力のプロセスを推進すべきだ。

二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウトとカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)という「双炭」目標の実現推進に着目し、国家気候変動対応戦略研究国際協力センターの李俊峰初代主任は次のように述べた。気候変動への対処では、中日は共通の目標と戦略的ニーズがあり、関連技術産業には非常に高い関連性と相互補完性がある。両国には以前、アラブ首長国連邦の首都アブダビの太陽光発電施設建設分野の協力で成功した経験がある。今後、双方はカーボンニュートラル分野の二国間協力と多国間協力をさらに強化すべきだ。

これに対し、日本銀行の中曽宏副総裁は次のように応じた。現在、「双炭」目標の実現推進に関し、各国の中小企業には資金難の問題が等しく存在している。日中は「グリーン金融」分野で協力方式を刷新し、中小企業の排出削減目標実現を後押しすることが可能だろう。

地域経済協力の推進に関し、中国世界貿易機関研究会の霍建国副会長は次のように主張した。両国はRCEPの枠組みを十分に利用し、貿易投資協力を強化すべきだ。「環太平洋パートナーシップに関する包括的先進的協定」(CPTPP)の交渉推進は、双方の対等な開放を促進するのに役立つ。中国がCPTPPへの加入申請を決めたのは、交渉と意思疎通を通じて加入条件を満たす準備が整ったことを意味する。

国際金融情報センターの玉木林太郎理事長は次のように指摘した。単純に国内総生産(GDP)増加を追求した過去の経済発展モデルと比べ、現在の経済成長はより複雑なリスクや試練、課題を総合的に考慮する必要がある。既成のテキストのない状況下で、日中協力、ひいては国際協力は新たな解決方法を探し出す必要がある。

北京大学国際戦略研究院の汪婉理事は次のように呼び掛けた。国際的な経済協力は歴史の進歩を示しており、各国経済の相互依存が絶えず深まった結果だ。中日は経済グローバル化の受益者で、開放型世界経済と地域協力の面で共通の立場を持つ。世界的に分断が進む中、中日は「第三国市場協力」やRCEPを利用し、地域経済一体化のプロセスを引き続き推進すべきだ。

双方のパネリストはこのほか、経済分野での「自然資本の保護」やカーボンプライシングの導入、国際ルール策定などの具体的な議題について建設的に討論した。

中華日本学会の高洪会長は次のように述べた。気候変動や排出削減などの課題への対処で、中日には技術面で協力の余地がある。対話と意思疎通を絶えず強化し、協力への障害を取り除くことは、両国が共同で「双炭」目標をできる限り早く実現するのに役立つ。ここにも今年の国際協調分科会の価値がある。

(文=沈暁寧 呉文欽 写真=董芳 呉文欽 王朝陽 南部健人)

 

人民中国インターネット版 20211029

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