新型肺炎、収束すれば中国経済は急回復も

新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が懸念されている。第1四半期(13月)、延いては通年の成長率を押し下げるとの見方も一部で広がっている。これに対し専門家らは、各地方当局が一連の景気対策を打ち出しており、市場と企業のセンチメント改善に繋がるとの見方を示した。また、中国は経済への下押し圧力に対応するための十分な手段があると指摘。感染拡大ペースが鈍化すれば、中国経済は急速に落ち着きを取り戻し、出足の遅れていた消費も投資も動き出し、経済は元通りに回復するだろうとしている。

感染が拡大するなか、一連の市場安定化策や予想安定化策が矢継ぎ早に打ち出された。

21日、中国人民銀行(中央銀行)や財政部など5部門は連名で、感染防止に向けた30項目の金融支援措置を打ち出した。翌2日、人民銀行は3日に金融市場が再開する前に、公開市場操作で市場に資金を供給すると発表し、3日と4日の2日間で計17000億元を供給した。6日、財政部は関係部門と共同で10項目の財政支援措置を発表するとともに、包括的な政策を継続的に打ち出し、企業の生産経営コストや資金調達コストを一段と引き下げる方針を示した。各地方も中小零細企業向けの支援策を相次いで発表した。

新型コロナウイルスの感染拡大による短期的な打撃について、専門家らは「中国はこれに対応するための十分な政策ツールを備えている」と指摘した。

人民銀行の潘功勝副総裁も「中国の道具箱(ツールボックス)には、経済への下押し圧力に対応できるだけの十分なツールがある」と強調。世界の主要経済国の中でも、中国は数少ない常態化した金融政策を実施している国だと述べた。

中国の大手証券会社、光大証券のチーフエコノミスト彭文生氏は、より的を絞った支援策が必要だとの認識を示した。影響の深刻な業界や地域、集団に的を絞って支援すべきであって、「ばらまき」をすべきではない。つまり、マクロ政策は構造を重視すべきであって、総量ではないと指摘。金融政策は感染発生前より若干緩和されるだろうが、財政収入の減少も支出の増加も含めて、積極的な財政政策に重きを置くべきだとの認識を示した。

財政部は先ごろ、新型コロナの感染拡大により大きな影響を受ける交通運輸、飲食、ホテル、観光などの業界に対し、企業所得税などの税負担軽減策を発表。欠損金の繰越期間を通常の5年から3年延長して8年とすることなどを盛り込んだ。

金融政策にも一段と力が入れられる方針だ。人民銀行は先ごろ、新型コロナ対策の特別再貸付資金として3000億元を供給した。潘功勝副総裁は、これを踏まえて次段階では次の3つの金融政策を講じる考えを示した。

1、カウンターシクリカル調整を強化し、合理的かつ潤沢な流動性を維持するほか、実体経済に良好な金融環境を提供する。

2、金利自由化改革を一層深化し、ローンプライムレートの伝達メカニズムの整備、金融政策の波及効率の向上、資金調達コストの引き下げを図る。

3、構造的な金融政策ツールの効果を継続的に発揮させる。的を絞った預金準備率の引き下げや再貸付、再割引など構造的な金融政策ツールの誘導作用により、国民経済の重点分野や脆弱な部分に対する支援を強化する。

潘副総裁は、「新型コロナの感染拡大が中国経済に及ぼす影響は段階的で一時的なものだ」と強調。今回は春節と重なったことで、観光、飲食、娯楽などのサービス業に影響を及ぼしたほか、春節休暇の延長と操業再開の延期で工業生産や建設業にも打撃を与えた。恐らく中国の第1四半期(13月)の経済活動に影響を及ぼす見通しだが、事態が収束すれば、経済は早期に潜在GDPの水準まで回復するだろうと述べた。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2020216

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