コロナ下で成長続く「一帯一路」(二)

北京師範大学一帯一路学院執行院長 胡必亮=文

エネルギー転換を推進

これまで中国と共に「一帯一路」を建設してきた国のほとんどは、経済の発展が相対的に立ち遅れた国だ。「一帯一路」沿線諸国の1人当たりの発電設備容量は0.5㌔㍗に過ぎず、1人当たりの消費電力量は年間2000㌔㍗時に満たず、世界の平均レベルをはるかに下回っている。

これらの国で発電所を建設し、電力の供給力を高めることは、その国の経済発展の促進と国民生活の質の向上に極めて重要な役割を果たすだろう。そのため、「一帯一路」の国際協力において、エネルギーインフラの建設は重点事業となる。中国パキスタン経済回廊の建設プロジェクトを例にとると、発電所建設は全建設プロジェクトの60%以上を占めている。

総じて言えば、現在、中国が実施している基本政策は石炭火力発電の増加規模を抑えることだ。中国政府はすでに「気候変動対応分野の投融資の促進に関する指導意見」を公布しており、石炭関連の建設プロジェクトへの投資を制限している。中国人民銀行は昨年、「グリーンボンド適格プロジェクトカタログ」を修正し、これから石炭や石炭発電など従来型の化石燃料エネルギープロジェクトの建設は支持しないことにした。

この基本政策は「一帯一路」の共同構築において見事に具現化されている。例えば、中国がパキスタンで建設した発電所の多くは、水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギー型の発電所で、また一部の原子力発電所も含む。パキスタンのほかに、中国はモンテネグロで風力発電所を共同建設し、アラブ首長国連邦では太陽光発電所の建設などクリーンエネルギープロジェクトにも注力している。

クリーンエネルギー発電の資源に恵まれていないが、石炭資源は豊富にある国には、中国は石炭火力発電所の建設を支援している。ただし、世界をリードする先進的なクリーン石炭火力技術を駆使し、また二酸化炭素の排出量は、環境保護の基準内に厳格に抑えられている。

要するに、エコで低炭素、持続可能な「一帯一路」を共同構築するという目標の下、中国は常に「一帯一路」沿線諸国と共に成長のためのエネルギー転換を推進し、再生可能なエネルギーの発展に力を入れ、二酸化炭素の排出量を減らし、気候変動に積極的に対応するために貢献している。

 

 

 

 

中国の企業がケニアの首都ナイロビで投資建設した太陽エネルギー利用システム。これにより、アフリカの人々はクリーンな熱クリーンな電力クリーンな動力を使えるようになった

 

ワクチンの国際協力に尽力

新型コロナウイルス感染症がいまだに世界中で猛威を振るっている。こうした状況を踏まえ、「一帯一路」の国際協力はワクチン面での協力に重点を置き、「一帯一路」を各国国民の生命安全健康を守る「命の道」と「健康の道」にするよう努力すべきだ。

中国の製薬企業は、科学的法則と監督管理の要求に厳格に基づき、規格と秩序を守ってワクチンの研究開発に取り組んでいる。現在、中国では2種類のワクチンが市場に投入されている。厳しいチェックと幅広い臨床試験を経て中国企業が開発したワクチンは、以下の四つの特徴がある。①安全性と有効性が高い②成熟した不活化ワクチン技術を採用している③副反応が少ない④低温輸送と保管施設に対する要求条件が相対的に低い。

中国企業は今、ロシアやエジプト、インドネシア、パキスタン、アラブ首長国連邦など「一帯一路」共同建設のパートナー十数カ国とワクチンの第33フェーズの臨床試験を行っている。中国医薬集団(シノファーム)が発表したアラブ首長国連邦での第33フェーズ臨床試験の中間報告によると、ワクチンの有効性は86%に達し、中和抗体の陽転率は99%で、深刻な安全上のリスクはなかった。

現在、アラブ首長国連邦やインドネシア、バーレーン、パキスタン、ヨルダン、トルコ、ブラジル、チリ、エジプト、フィリピン、ハンガリーなど20余りの「一帯一路」沿線国は、中国企業が生産したワクチンをすでに接種している。

中国は、新型コロナのワクチン開発が完了し接種が始まった後、これを世界の公共財とし、発展途上国におけるワクチンのアクセシビリティー(利用しやすさ)とアフォーダビリティー(適正な費用負担)の実現のために貢献すると約束した。

また中国は、新型コロナウイルスのワクチンを共同購入し途上国などに配分する国際的な枠組みCOVAX(コバックス)ファシリティーに加入し、さらに世界保健機関(WHO)の要請に応じて、主に発展途上国で使用されるワクチン1000万回分の提供を決めた。中国は、「一帯一路」国際協力の場を通してより多くの関連国にワクチンを提供し、世界の感染症との闘いができるだけ早く全面的な勝利を収めるよう後押しする。

 

 

 

 

中国製コロナウイルスワクチンの接種を受けるトルコのコジャ保健大臣。この様子は生中継され、翌日からトルコ全土で医療従事者の同ワクチン接種が始まった(113日、アンカラで)

 

プロフィール 
胡必亮
北京師範大学一帯一路学院執行院長、教授(経済学)、博士課程指導教員、「一帯一路」国際シンクタンク協力委員会理事。 

 

 

関連リンク: http://www.peoplechina.com.cn/tjk/ncp/tt/202103/t20210304_800238228.html

  

 

人民中国インターネット版 2021324

 

 

 

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