米国は、新型コロナウイルスの発生源を追及するウイルス・トレーサビリティの問題について、是非を転倒させ、白黒を混同させている。新型コロナの政治化、ウイルスのスティグマ化、トレーサビリティーの道具化を続けることで、コロナ対策を巡る国際協力に影を落とし、発生源調査を巡る国際協力にも深刻な支障をきたしている。海外の政治家や要人、学者らは、科学を尊重し、中国に対する中傷や攻撃、発生源を巡る政治的操作をやめるよう米国に呼び掛け、国際社会が一致団結して新型コロナと闘うべきだと強調した。
ロシアのウイルス学者でモスクワ州立大学生物学部の教授、アレクセイ・アグラノフスキー氏は、人民日報の取材に対し「米国がこのほど発表したウイルス・トレーサビリティーに関する報告書は、政治的なゲームであり、科学とは何の関係もない」と指摘。この問題を巡って米国が中国を非難することは、科学的な根拠に基づくものではなく、コロナ対策における政府の無策さから国民の注意をそらすための政治的な動機によるものだとの見方を示した。
ブラジル感染症学会の疫学者エリアンナ・ビクード氏は、人民日報の取材に対し、新型コロナ発生源の調査は、科学的かつ専門的な観点から扱われるべき厳粛な科学的問題であって、政治的要因が干渉してはならないと強調。米国がこの問題を政治化することは、科学軽視の表れであり、問題の解決に何ら好影響をもたらすことはないと語った。
ケニアの国際問題の専門家であるアドヒル・カヴィンス氏は人民日報の取材に対し、世界保健機構(WHO)の国際調査団が調査を行うために中国を2回訪問し、双方は共同で研究報告書を発表、次段階のグローバルな枠組みの下で、複数の国と地域が共同で調査を行うための道筋を示したと説明した。その上で「この報告書で述べられているように、発生源の追跡調査は世界各国に広げて実施されるべきであり、他の権威ある科学的研究はこの主張に反対はしていない。再び中国に調査の焦点を当てたことは、これまでWHOが出した結論とは真逆のものとなり、WHOの信頼性を損ない、ひいてはWHOの現在および将来の活動計画を危険にさらす恐れすらある」と指摘した。
エジプト愛国運動党のラウフ議長は人民日報に対し、米国の一部の政治家は、中国の発展を抑え込む機会になるとして、ウイルスのトレーサビリティの問題を利用して中国を中傷していると指摘。「政治団体が自分たちの利益を守ろうとしていることは非常に明白だ。ウイルス・トレーサビリティーの問題は、明らかに政治的な要因に影響されている」と語った。
ウイルスの起源を調査した中国とWHOの合同調査団のメンバーである動物学者のピーター・ダザック氏は「今こそ科学者が発言し、政治家は耳を傾けるべきだ」と指摘。感染拡大が今なお続く中、米国をはじめとする一部の政治家は、WHOの活動が妨げられることなく継続できることを切に願っていると語った。
米ペンシルベニア大学のジョナサン・ジマーマン教授は先ごろ、ワシントン・ポスト電子版への寄稿記事の中で、米国では感染症の流行が起こるたびに、外部の人間に責任を転嫁してきた歴史があると指摘。米国は常に感染症を外部の人間と結びつけ、疾病や死に対する米国の責任を免れるための「便利なスケープゴート」として利用してきたと批判した。その上で「われわれは敵に出くわしてしまったが、その敵とは実はわれわれ自身だったのだ。鏡の中の自分や壊れた自分の心を見つめ直したりするよりも、誰かのせいにする方が容易だからだ」と締めくくった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年8月29日