食わず嫌いにならないために
 

私は幼いころから、中国という国に対して良い評判をあまり聞けなかった。両親は諸外国に対して特別な感情を抱いていたわけではなかったが、それはたぶん関心の問題だろう。祖父母は日中韓の関係について強い関心を持っていていろいろな意見を自分に伝えてきたが、小中学生までは公民の知識を蓄えることで精いっぱいで、自分自身の意見を持つというところまでは至らなかったので、そういったものなのだろうと思っていた。だから、中国を意識するときは中華料理を食べる時くらいだったと思う。

しかし、高校になって環境が変わった。クラスの中で帰国子女の割合が増えたのだ。彼らは英語が自分より出来て努力をしなければならないと感じたが、驚いたのは彼らの多くは英語圏の帰国子女ではないことだ。それに気づいたとき、もっと国際的な目を持って生活をしなければならないと感じた。中国人のクラスメートも自分からしたら、帰国子女の一人といった感じで特に誰も特別視はしてなかった。彼の親は中華料理店を経営していてよく店に関する話を聞いていたので、なんだか中華料理がより身近になった気がした。

そのころ、私は競技科学にはまっていた。特に競技プログラミングはずっと続けていて、今でもたまにコンテストに参加している。日本や海外のコンテストに参加するときに感じるのはアジアの競技人口の多さである。そういった観点や英語圏からではない帰国子女が英語が上手であることから他国の教育事情に興味を持ち始めた。今まで、アジアでは台湾と香港、韓国に渡航したことあるが、そのうちのどこでも英語がある程度通じることは英語力の高さがうかがえる。興味からいろんなニュースを読んでみたが、一番気になったのは中国人の子供の習い事が多忙すぎるのでないかといったものだった。一週間のほとんどが幼少期からたくさんの種類の習い事で埋まるという生活。ここで気になったが、小さいころから数学オリンピックを習うことが最近のトレンドであると書かれていたことだ。日本には、科学オリンピックを対象とした塾はそれほど多くないが中国では当たり前のようにほとんどの子供が通うようである。それは、日本でいうサッカーや野球を習うとかそういうレベルの話なのか。私が小学生のころやっていたことといえば、テニスと空手道と書道で勉強に関する大会に出場させる習い事などそもそも聞いたこともなかった。辛すぎる、そう思う一方でそういった教育を受けていたら自分はどういった成長を遂げただろうと思いをはせた。

ところで、最近の趣味はYouTubeでシンガポール人やマレーシア人の動画を視聴することだ。英語の勉強と娯楽を同時に満たしている。その中で、頻繁に出てくるのが中国語である。彼らは様々なバックグラウンドを持っているので中華と自国の文化を融合させて楽しんでいる。毎日のように動画を視聴していると、シンガポール、マレーシアはもちろん、中国の文化まで身近に感じてきた。クラスメートが中国語を話していたことなども思い出して、勉強してみたいと思うようにもなった。

私は、中国に行ったことはないし、最近のニュースでは良い噂を聞かない気がする。しかし、政治と国民は分けて考えたいと思う自分がいる。自分が中国について知る部分は、教育と文化のほんのわずかであるが、妙に惹かれる部分があり少しでいいからそこで生活をしてみたいとも感じる。中国は技術を盗むと誰かが言うが、その人は幼いころから勉強漬けの毎日を知っているのだろうか。野蛮な国だという人もいるが、私は中国の映画や音楽を楽しむ時、日本と似ているといつものように感じる。人生の中で中国と関わることはこれからさらに多くなっていくと思うが、自分なりに相手を理解したうえで意見を述べていきたい。

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