私のアナザースカイ

横川舞夏

中国は私にとってのアナザースカイだ。私は去年中国にある天津市に1年間留学した。留学することを決めた時、いや、中国語を学び始めた時には、私にとって中国がこんなにも大切な場所になるとは思っていなかった。

中国語を学び始めた理由は特にはない。だから留学を決めたのも留学したらなんとなく話せるようになるかなというだけで、大きな目標や目的を持って行ったわけではない。中国語を学んではいたが、中国に対して申し訳ないが良いイメージを抱いていたわけでもない。留学を決めた時、周囲の人にはなぜ中国なのか、空気も悪いイメージも悪い中国になぜ行くのかよく聞かれた。日本で中国という国はあまり良いイメージではないのだということを痛感した。だからはじめはとても不安だったし、1年間も滞在することができるのだろうかと考えていた。

  留学に来たばかりの頃は中国語もあまりできず、苦労することも多かった。しかしこのままではだめだと思い、徐々に中国人学生や他の国からの留学生と積極的に関わるようになっていった。するといつの間にか中国語力も成長していった。中国語が上達するにつれて1人で出かけられるようになった。OFOに乗って天津の街を散策し、ふらりと店に入り食事をしてさっとwechatpayで支払う。行動範囲が広がり中国での生活がどんどん楽になっていった。店でも、日本の丁寧な接客もいいが、中国でのあっさりとした接客の方が心地よく感じるようになっていった。日本にいる時は1人で外で食事をしたり、出かけたりすることは人の目が気になりあまりできなかったが、中国ではそんなことは何も気にならない。1人でご飯を食べることも、観光地でおひとりさまの女の子が自撮りをしている姿も特別な光景ではないからだ。日本では周りを気にし、気を遣い、自分を出すことは難しい。私は小さい頃からずっと、なんとなく息苦しさを感じながら生きていた。そんな私にとって、このような中国での生活はとても過ごしやすく素で生きていける場所になった。

  また、語学以外の面で大きく成長したことがある。私は留学に来る前、好き嫌いがとても多かった。野菜を始め、食べられないものがとても多かった。そのことが不安で、日本からたくさんカップ麺などの日本の食べ物を持って来ていた。はじめは言葉もできず友達もいなかったため、外にご飯を食べに行くことがほとんどなかった。しかし徐々に友達が増え、ご飯に行く機会が増えていった。すると今まで食べたことがないものを食べる機会も増えていった。せっかく連れてきてくれたのだからと苦手なものも積極的に挑戦していき、体重の増加とともに食べられるものが増えていった。このことは私にとってはとても大きな変化だ。中国での食生活は私が知っている中華料理とは全然違ったし、天津に天津飯はない。しかし今では中国の料理が大好きだ。

 この留学を通して中国語力だけではなく、今でも交流が続く他の国からの留学生や中国人の友人たちを得ることができた。また、日本のメディアが伝える中国のイメージとは異なる中国の姿を知ることもできた。帰国する際に、心の底から天津を離れたくないと思うようになるとは以前は想像もしていなかった。中国での日々が恋しすぎて、ゴールデンウィークには再び天津を訪れている私である。今では中国が大好きだ。中国での日々は私にとって、とても幸せな日々で大切にしたい思い出となっている。

中国、ここが私のアナザースカイ。

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