中国への社会科旅行

 山本洋太

 高校入学前の春休み、父は私を中国に連れて行ってくれた。行き先は巨大都市上海。空港に降り立ちさあ市街地にでようと空港で待っていたのはリニアモーターカーだった。日本ではまだ建設中のリニアモーターカーがすでに上海では高速の空港アクセス機関として運用されているのには驚いた。ほぼ揺れない快適な移動の後はタクシーに乗った。しばらく走ると、見えてきたのは超高層ビル群。まるで東京のような光景だった。クレーンもいくつか見えたので、まだまだ建設ラッシュのようだ。その間を縫うように敷かれた高速道路からのその眺めはまさに圧巻だった。ガイドさんに案内され向かった公園の前の、古風でヨーロッパらしい建造物と河の対岸にそびえるビル群がとても対照的で、時代の流れを強く印象付ける光景だった。食事の時にも驚きはあった。レストランの机の上にQRコードがあり、レジで現金を払う必要は無くスマートフォンで決済ができるというものだ。何やら中国ではこの「モバイル決済」の利用率が九割を超えているそうで、それに対し日本ではまだ一割にも満たないそうだ。財布を持たず携帯電話さえあれば食事や買い物もできることは、とても便利だと思った。市内の移動には地下鉄を利用したのだが、後で詳しく調べるとその建設スピードを知って驚いた。上海の地図にぎっしり詰まった地下鉄とライトレールの路線はなんと総距離600キロメートル以上で、初開業からはまだ25年しか経っていない。まだまだ建設が続くそうだ。旅行の最後には有名な上海タワーを訪れた。真下から見上げるタワーは大迫力としか言いようが無かった。

 今回の中国旅行で学んだことは大きく二つあった。まずは異文化の理解である。日本にいると、例えばマナーが悪いなど中国に対しての悪いイメージを持つことがあったが、実際にはメディアが切り取った部分的な映像によってもたらされたイメージであることに気づいた。中国で出会ったガイドさんには慣れない日本語で必死に説明をしてもらい、ホテルのスタッフには親切にしてもらい、写真撮影というもてなしも受けた。何かと明るい中国人の生活の営みを感じることもできた。レストランのテーブルが少し汚れている、地下鉄の中がうるさい、そんなことは、中国外から来た人にとっては多少抵抗があるかもしれない。逆もしかりではないか。遠慮がちで何かと消極的なことが多い日本人の間も外国人にとっては居づらいかも知れない。しかしこれらは全てその国の文化の一部でありどうにもとがめようのないことなのだ。その国のことをよく知ることが、その国の文化を理解することにつながるのだと分かった。

 二つ目は中国の発展である。中国はまだ先進国に至らず成長途中だというのはなんとなく知っていたが、その成長というものは想像以上だった。すでに日本よりも進んでいる部分が多くあることがよく分かった。父は今に中国は世界中に進出する、中国人と関わらないわけはないといっている。私もそんな中国をより知ることで、さらに中国人とコミュニケーションをとることで世界に対しての視野が広がるのではないかとも思っている。そのはじめのステップとして、私は高校の第二外国語として中国語の勉強を始めた。将来に向けて隅に置けない存在である中国を学ぶことを、自分の将来のための糧としていきたい。

 人民中国インターネット版

 

 

 

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