想いが人を繋ぐ。

大久保紗文

 北国の雪景色が広がる晩12時、終電に乗って家に帰り駅で降りたその時、駅まで迎えに来た母から一本の電話。

「駅前のコンビニにいるんだけどそこまで来てくれる?中国人観光客が困っているから通訳してほしい。」

コンビニの中で中国人観光客2人に会い、私のつたない中国語で話を聞いてみると彼女たちは空港付近のホテルまで行く予定が電車の中で寝過ごしてしまい、私の住んでいる田舎の無人駅で降りてしまったのだ。そこで母と私はすぐに彼女たちを家に泊めてあげようと決めた。知らない人の家に泊まるのは彼女たちにとって不安なはず。最初は緊張している様子だったが、すぐに打ち解けていった。彼女たちは次の日の朝6時には出発しないといけないとのことで、私たちはたったの6時間という短い出会いだった。

私たちは布団を敷いて川の字になって寝た。寝ると言ってもお互い気になることが多いので語りの時間が始まる。話をしていくと、彼女たちはインターネット上で北海道旅行をするために一緒に行く人を探す中で知り合った2人だった。彼女たちは共通の好きな日本のアニメ、アーティストがいる。私にとってはどんなに共通点があっても知らない人と旅行するなんてあり得ないし、恐れを感じる。でも、お互いを信頼して行動する彼女たちの姿は私を驚かせた。彼女たちの話を聞けば聞くほど日本に対する熱意が伝わってきたし、その語る姿とても笑顔溢れていた。私はその姿を見てとても嬉しかった。

私は4年前から夢ノートというものを書き続けている。小さな夢から大きな夢までひたすら書くのだが、そのたくさんの夢の中の1つが中国人の友達を我が家に招待する!だ。理由は私が中国留学をした際に中国の学生が温かく迎えてくれた。中国の友達が日本に来たら私も同じように迎え入れてあげたいし、恩返しをしたい!私にとって家とは、たとえ国籍が違っても、言葉が通じなくとも家族の一員として感じることができる場所。 そして彼女たちに私の家族を通して日本の文化を感じてほしいと思っていたからだ。今回このような運命的な出会いを通して私の夢までも叶えることができた。

彼女たちの中の1人がWeChatのモーメントに北海道での私たちの出会いを日記のように書き綴っていた。文頭にまず書かれていたのは、

我真心希望中日可以永久的友好和平便利店阿姨和大久保一家一辈子都能平安喜乐

だった。この言葉を見た瞬間、胸に温かいものが込み上げてきた。この出会いが小さな一歩となり、友好関係の土台を築いていくのだと実感した。

冬休みが終わり、ハルビンに戻った今年3月、彼女たちから中国広州の特産物が実家に送られてきた。さらに私の留学しているハルビンにも送ってくれたのだ。彼女たちから、

「感謝の気持ちを伝えたい、だから受け取って欲しい。今度はあなたが広州に遊びに来てね。」

WeChatで連絡が来た。私たち家族はその彼女たちの思いを受け取った。私は中国語の勉強をもっと努力し、次は私が日本のお土産を持って自ら彼女たちに会いに行く。今度会う時にはもっと成長した姿を見せたい!

現在、中国ハルビンでの2学期間の留学が終わり、日本に帰省した。日本はますます中国人観光客が増加しているのを感じる。道端で中国語が聞こえたら嬉しくなるし、バイト先でも中国人観光客が来るたびに、社員から「大久保さん、接客頼むね。」と言われる。

異文化を理解し、その人が本当に困っていることに寄り添い、手助けしてあげること。同じ立場で生きていく者同士として協力し合うことの積み重ねが友好に繋がっていくと思う。想いが人と人とを繋ぐ。“想い”のキャッチボール。私の中国が大好きだという想い、彼女たちの日本に対する深い情、その想いが私たちを出会わせたに違いない。

人民中国インターネット版

 

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