情熱冷めず未来志向

Panda杯2020表彰式オンライン開催

文=呉文欽



 Panda杯全日本青年作文コンクール2020オンライン表彰式が今年1123日、北京で行われた。同コンクールは駐日中国大使館と中国外文局傘下の人民中国雑誌社、日本科学協会が共同で主催している。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、表彰式は初めてオンラインで行われた。中国外文局の方正輝副局長や日本科学協会の顧文君常務理事、森ビル株式会社の星屋秀幸顧問、東日本国際大学の西園寺一晃客員教授らのゲストや協力機関の代表、日本人受賞者約100人がオンライン交流を行った。



3000点以上の応募

 Panda杯は2014年に創設され、「@Japan わたしと中国」をテーマに1635歳の日本人を対象にしている日本語作文コンクールだ。これまでに7回行われており、全国から3000点以上の作品が寄せられた。

 習近平国家主席がおととし大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席前の6月25日に、Panda杯受賞者の中島大地さんの手紙に返信を送ったことで、中日両国で大きな反響を呼び、同コンクールへの注目度が著しく高まった。

 新型コロナの影響にもかかわらず、今年のPanda杯では481点の応募作品が寄せられた。厳正な審査を経て、優秀賞10人、入選賞10人、佳作賞35人、団体賞3校が選ばれた。そのうち、立命館宇治高等学校、大阪府立柴島高等学校、聖心女子大学が団体賞を受賞した。



 

 孔鉉佑駐日中国大使はあいさつ文を送り、「(今回のコンクールで)多くの方は期せずして新型コロナとの闘いをテーマにし、感染症という共通の試練を前に、中日両国民が示した『一衣帯水、同舟共済』の精神を描き、人々に感動を与えています」と述べた。

 また、孔大使は次のように指摘した。中日両国の未来の若き担い手として、皆さんが時代から託された責任を積極的に背負い、身近なことから着手し、世々代々の友好の継承者となり、民間交流の先駆者となり、互恵協力の新鮮な力となり、青春と活気で中日関係の新たな一章を刻んでいくことを希望する。

 表彰式のあいさつで方副局長はこう述べた。「習主席は19年6月にPanda杯受賞者の中島大地さんに送った返信の中で、『中日の若者には、相互交流を深め、相互理解を進め、長きにわたる友情を育み、両国関係のより良い明日を切り開くために積極的な貢献を果たしてもらいたい』と期待を込めた。この返信はPanda杯の全ての参加者を大いに鼓舞しただけでなく、両国の若者の友好交流を深めるために進むべき方向を指し示しました」

  また、方副局長は「中日両国民が新型コロナと闘う中で、多くの感動のエピソードが生まれました。新型コロナ後、受賞者たちは中国訪問の願いをかなえ、各地を歩き回り、歴史や文化、風土、人情、経済・社会の発展を肌で感じ、中国の若者たちと顔を合わせ、胸襟を開いて交流し、躍動の中国、ありのままの中国を身近に感じていただきたい」と語った。

日本財団の尾形武寿理事長はビデオメッセージを送り、こう述べた。「日中交流で一番大事なことは、相手の国を良く知ることです。お互いの友好を深める人たちをたくさん増やしていくこと、育成していくことが、将来の日中間に安定した関係を醸し出す大きな原動力になると信じています。われわれの世代において出来得る最大の交流の仕事を、次の世代に残すということが必要なのだろうと思っています」

 日本科学協会の高橋正征会長はビデオメッセージの中で、受賞者たちが訪中までに1年間の準備期間ができたと前向きに考えるよう励まし、自身の興味や関心のある事柄、日本や中国に関する話題について調べるとともに考え、21年の訪中がより実り多いものとなるよう期待を述べた。



初のアンケート調査

 中日関係と中日交流に関する日本の若者の意識を一層理解するために、Panda杯運営実行委員会は今年10月に、第7回Panda杯の参加者や過去の一部の参加者を対象にアンケート調査を行い、141件の有効回答を得た。

 調査の結果、回答者の9432%が、日本にとって中日関係が「とても大切だ」あるいは「比較的大切だ」と答え、8582%が「アジアと世界の平和と繁栄の実現のため、中日両国はより緊密な協力関係を構築すべきだ」と答えた。約半数の回答者は「青少年交流など、民間レベルでの直接交流の促進」が中日関係をより強固にする有効策だと考えている。

 本誌の王衆一総編集長は表彰式で調査結果を発表した際、データからPanda杯に参加した日本の若者たちが全体的に中国に対して良い印象を持ち、大多数が中日関係と中日協力の重要性を十分認識していることが読み取れると指摘した。

 日中友好会館の黄星原・中国側代表理事は今回初めて行ったアンケート調査に注目し、この革新的なやり方を高く評価した。調査結果を分析した際、黄氏は、両国の政府と民間は若者同士の交流を促進する上で、若者の中日関係に関する見方と評価を重視し、若者のニーズに応え、留学生の相互派遣、相互訪問、相互研修の機会をより多くつくり出し、若者を対象にした芸術や音楽、スポーツなどの文化交流プロジェクトを増やす必要があると指摘した。


コロナ下の助け合いに注目

  今回の受賞作はこれまでの多次元的視点を受け継ぐとともに、中日両国の新型コロナとの闘いにフォーカスした。

 優秀賞を受賞した築切佑果さんは「運命の出会い」で、湖北省のある大学で日本語教師をしている自分が、地元の学生たちと深い友情を結んだエピソードをつづった。ある学生が彼女に新型コロナウイルスの脅威を知ってもらうために、不慣れな日本語で2000字以上の長文を書いた。学生たちの助けと励ましを受けたことで、築切さんは未知のウイルスに対する恐怖心を克服し、効果的な予防策を取ることができた。

  日中言語文化教育推進会幹事長でPanda杯審査員の葉言材氏は、「参加者の情熱は冷めることなく、新型コロナ流行下にあっても中日両国への関心はさらに増し、生き生きとした体験や物語に加えて冷静で深い思考と提案が見られ、応募作品のレベルがさらに上がったことが感じられた」とビデオあいさつで述べた。

 審査員の西園寺一晃氏は、今回の作品は自分と中国の関係、中国への思い、日中関係に対する願いなど、内容は豊富であったと評価した。また、多くの作文に好感が持てたのは、「未来志向」で日中関係を考えていることだと語った。

 受賞者代表の岩崎春香さんは、「新型コロナの感染が拡大した初期、自ら武漢に行くことを志願した中国の医療従事者たちの姿を見て、同じ医療従事者としてたくさんの勇気をもらいました。今は、以前のように人の往来ができませんが、相手を思い、もっと知りたい、分かり合いたいという気持ちが、これから先のより良い両国の未来につながると信じています」と受賞の感想を述べた。

 

 表彰式の司会を務めた本誌の陳文戈社長は、2011月下旬に行う予定だった受賞者の中国訪問を21年に延期すると発表した。そのときに20年度と21年度の受賞者は共に中国を訪問する見込みだ。


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