素敵な「ハオい」が溢れる世界

福田遥


12年ほど前からであろうか。SNSを眺めていると、中国に関わりのある者、中国に興味がある者などの間で「ハオい」という表現が頻繁に見られるようになった。この「ハオ」とはもちろん中国語の「好」であり、それに「い」を付けて日本語の形容詞のように使う。「よい、すばらしい、いいね」といった意味があり、ポップな語感は非常に耳触りがよく印象に残る。中国風の素敵な雰囲気のレストラン、話題のスポット、おしゃれなスイーツなど、いずれも写真にハオいで表現された文章を添えた投稿を何度も目にして、今日の中国は日本や韓国に並ぶアジアの流行発信国であることを強く感じるようになった。また、と呼ばれる中国人インフルエンサーらの影響力も世界各国に広がっている。

わたしが初めて中国を訪れたのは大学1年生の6月、今から7年前のことである。当時一般的に日本人の多くは中国にあまりいいイメージを持っていなかったのではないだろうか。北京オリンピックで中国の国力を内外に示したが、依然として大気汚染の問題や日本への抗議デモ、段ボール肉まん、毒入り餃子事件や地溝油などのマイナスの話題がメディアでよく取り上げられていた記憶がある。

「百不如一の精神でその後は短期留学、長期留学、旅行などで何度か中国を訪れる機会があり、中国が持つたくさんのハオい側面を体感してきた。大学では中国古代史を専攻しており、漢代の西南夷に関する考察をした。主に南越国や滇国などを中心とした非漢民族らが中央に納めていた朝貢品についてまとめたのだが、その中には入手困難なハオい物品が数多くあった。孔雀もその一種であり、現代であってもSNSで美しくてハオいと人気を集めそうだとふと思った。

当時のわたしはもっぱら、歴史、文化、建築、美術、美食などに興味があり、中国滞在中はわくわくと知的好奇心のままに行動した。広大な領土と異なる文化を持つ人々が暮らす中国には、まだまだ知られていない素敵なものや場所、文化があることを知りその魅力にどっぷりとはまった。中国の方に親切にしていただいた経験も数えきれないほどあり、その優しさが何度も心に染みた。人にハオいという表現を使うのは少しおかしいけれど、すごいのはものや場所だけでないことを強調したいと思う。

さて近頃はどうだろうか。日本経済を凌ぐ経済発展を遂げ、中国の国際的影響は更に強まった。家電量販店では中国メーカーの良質かつ比較的安価な製品が数多く並び、ハイアールやハイセンス、ファーウェイなど、現在では誰もが知っていて信頼して利用できる身近な存在になっている。中国アプリの人気も凄まじい。微信、淘宝、拼多多などはわたしの生活にも欠かせないツールになっている。

特に最近の中国コスメは、ハオすぎると思う。SNSでも故宮博物院ミュージアムショップから紫禁城600周年を記念して発売された化粧品が、きれいでかわいいと話題になっていた。その他のブランドからも中国の伝統的な柄のパッケージで多くに化粧品が販売されており、国内外で人気を集め、コスメ業界でも中国の台頭が目立つようになってきた。日本でコスメといえば韓国という認識も、中国にとって代わる日はそう遠くないのではないだろうか。

 このように「ハオい」は、現地で、身近で、世界各国で見つけることができる時代になっているのだ。様々な場所、多様な分野、伝統の中の「ハオい」はこれからもたくさんの影響をわたしたちに与えると同時に、可能性を秘めているため、積極的に発信していく価値が大いにある。とまではいかないが、わたしもみんながわくわくして、中国に興味を持つきっかけになる発信活動に挑戦してみようと思う。
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