国境をこえて
梅本琉花

日本と中国は古くから関わりを持っているにもかかわらず、日本の中国に対する印象は友好的とは断言できないと思います。なぜなら、私自身が今までそのような考えを持っていたからです。しかし、ある動画によってそのイメージが自分の偏った見方によるものだと気づくことが出来ました。

私は以前、2種類の中国での検証動画を見かけました。これは、中国人の人柄や優しさを検証するという内容でした。1つ目の動画は、工事の作業着を着た人がカフェの前で「自分はこんな身なりだから、代わりにコーヒーを買ってきてくださいませんか?」とカフェに入ろうとする人に頼むというものでした。作業員の人に話しかけられると、ある人は注文を詳しく聞いて代わりに買ってくれました。またある人は、「奢ってあげますよ。」とごちそうしてくれたり、さらには「服装なんて気にしなくていいですよ。一緒に入りましょうよ。」と誘ってくれる人もいました。2つ目の動画は、予定していた配達時間に30分遅れてしまった配達員の人に対し、怒って怒鳴りつける女性を見て、周りの人はどのような反応をするか、という検証内容でした。配達員の人は丁重に誤っているにもかかわらず、女性はさらに怒って、配達してくれたウォーターサーバーの替え用の水をもういらないと言い出します。すると、女性とは全く関係がないのに、通りかかった人が「その水はいくらですか?買わせてください」と話しかけてします。またある人は、「みんな歳をとります。お互いを理解しあいましょう。」と女性をなだめます。罵声をあげる女性をただ非難するのではなく、お互いを尊重する姿が特に印象に残りました。

この2つの動画を見て、私はとても感動しました。それは、この動画で行われていたものが中国人を対象にしていたから、私が日本人だからという理由ではなく、純粋な人の「温かさ」を強く感じたからです。相手を思いやる気持ちがあるのはもちろんのこと、それを迷わずに行動に移す勇気、当たり前のようにやってのけることがとても素晴らしいと思いました。そして、人間としての思いやりや優しさは国や人種などを超えて共通なのだと実感できて、とてもうれしくなりました。私がもし同じ状況にいたら、と考えると、絶対に同じことが出来たとは言えないと思います。

たった2つの短い動画によって、自分が中国に対して無意識のうちに偏見を抱いているということを実感し、とても不甲斐ない気持ちになりました。今までの私は、自分の周りのほんの少しの情報によって勝手に中国の偏ったイメージを自分の中で作り上げてしまっていたのです。そして、中国人の方々も1人の人間だということを認識していなかったのだと気づくことができました。私は昔から中国の歴史に興味があり、もっと多くのことを詳しく学びたいと思っています。メディアは一部の偏った情報しか伝えてくれません。だからこそ、自分の目で、自分の感性で知り、本当のことを学びたいと思います。そしてそのために私は今中国語を勉強しています。今よりもっと中国語のスキルを磨いて、現地へ赴いてみたいと思います。このように自分自身の偏見に気付き、なくしていくことで今よりもっと日本と中国、また中国だけでなくほかの国ともよりよい関係を着イズいていけると思います。これからの未来にはこのことがとても大切だと思います。そして次世代を担っていく私たちが自ら学び、自らの偏見に気付き、なくしていくことをもっと広めていけたらいいなと思いました。

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