中国人留学生の劉さんへ

伊東 美咲

 

私が書いた作文が、巡り巡ってある女性のもとへ届いて欲しいと思い、拙い文ながら書かせて頂きます。

私は、大学に入ってから第二外国語として中国語を専攻し、今は学び始めてから一年半になります。なぜ中国語を選んだのか、それは、中国語がこれからの時代とてもグローバルな言語になるのではないかと思ったからです。大学生になってから都内にあるしゃぶしゃぶ屋さんで働き始めた時、ある中国人留学生との運命の出会いがありました。

その方は劉さんと言います。私のアルバイト先は、何故だか日本人よりも、中国、ミャンマー、フィリピンなど外国籍の方が多く在籍しており、新人の私を指導してくれたのも、中国人留学生の劉さんでした。彼女は、まだ一年半しか日本に住んでいないのに、日本語がとてつもなく流暢で、私が困っていればすぐに「ここはこうやるんだよ」と優しく教えてくれたものです。私は劉さんに手取り足取りアルバイトの業務を教えてもらい、彼女は30歳で、当時19歳の私と11歳も離れているにも関わらず、フィーリングが合い意気投合し、段々と仲が良くなりました。アルバイトの時間の外側でも、私が、「明日中国語のスピーキングのテストなんだけれど、どうしよう、上手くできるかな?」というと、「大丈夫だよ、今やってみて」と言い、私のたどたどしい中国語のスピーキング練習に付き合ってくれ、アドバイスをくれたりしました。また、「あなたは私に中国語を教えて、私はあなたに日本語を教える。どう?」と提案され、LINEも交換し、宿題でわからないところがあればすぐに彼女にLINEを送り、教えてもらう事が出来ていました。

勉強のこと以外にも、劉さんの可愛い猫のことだったり、お互いの好きなゲームだったり、好きなアーティストについて語り合いました。劉さんの猫は、真っ白で毛並みがふさふさしていて、まるで劉さんのようにとても可愛いです。アルバイトの休憩が被ったときはいつも、意地悪な社員さんのものまねをして笑いあったりしていました。あの頃は劉さんのおかげで、アルバイトに行くのも毎回本当に楽しかったです。大学二年生の夏休みに、中国に旅行に行くついでに劉さんの家にいく約束も交わしていました。それを私はすごく楽しみにしていたのに······でも、劉さんはある日突然アルバイトに来なくなりました。他の従業員の方に劉さんの行方を聞いても、だれもわからないとのことでした。LINEを送っても一向に既読がつかないのです。毎日毎日とても心配でした。それは後々知った話ですが、劉さんは重い喘息をもっていて、症状を悪化させ中国に戻り、その後はどうなっているのかだれもわからないそうです。

中国語を勉強していたおかげで、劉さんとの間に「お互いの国の言葉を学ぶ同士」という共通点が生まれ、円滑にコミュニケーションを取れるようになったことはとても嬉しかったです。劉さんとの練習のおかげでいつも中国語のスピーキングテストでは、良い評価をもらうことができたし、もっと中国語や中国についての文化を学ぼうという意欲が芽生えていました。それなのに、急にいなくなってしまって悲しいです。

叶うのなら、またもう一度劉さんに会いたいです。しかし、2020年に世界中で流行した「新型コロナウイルス」で、またその夢が遠のいてしまったように思います。劉さんが重い喘息もっているのなら、新型コロナウイルスにかかって重症化しないかとても心配です。どこかで元気にしていてくれたなら本当に嬉しいです。

今は世界中が新型コロナウイルスによって、当たり前の日常が送れなくなってしまっていると思います。こんな時こそ、私たちは一致団結しなければなりません。中国と日本、手と手を取り合ってこのウイルスから身を守り、山を乗り越えましょう。

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