わたしと中国

大堀理緒

日本から千里も離れた異国で、私と同じく中国文化を愛する黒人の少女に出会えるとは、かつて想像することもできなかった。それは2019年の時のことだった。その時、まだ15歳の私は交換留学生の1人としてアメリカへ渡っていた。初めての北米渡航は不安でいっぱいだったが、新しい世界を見て新しいことにチャレンジすることでワクワクしていた。ある日、アメリカ人の友達から国際フェスティバルへの参加に誘われ、みんなが興味のあるアジア文化の出展をしてほしいと言われた。せっかくのチャンスで、私は喜んで引き受けた。様々考え悩んだ末、私は書道を出展することにした。 5000年余りの歴史に洗練された書道は,古くから中国から伝来し,いまだにアジア諸国から親しまれている。出展には最適なものだと考えた。

たくさん準備したうえで、私たちはフェスティバルの開催日を迎えた。書道は予想通り、アメリカの青少年で大人気だった。多くの人が私の前に来て、ぜひ体験してみたいと言ってくれた。どうやら彼らは自分の名前を漢字で書くことにとても興味があったようだった。

終了後、片付けをしている際に、1人の黒人の少女が話かけてくれた。中国に留学した経験がある私に、是非聞いてみたい歌があるということだった。そして彼女は李白の「静夜思」という歌を少しなまりのある中国語で一生懸命歌い、聞き覚えのある歌に私も思わず彼女と一緒に歌っていた。日本から千里も離れたアメリカでも中国でも一緒に歌えるなんて、私は泣きそうなくらい感動した。1曲終了後、その少女はにこやかに笑っていた。「まだ中国語が上手ではなかったが、私は将来中国に行ってみたい、そして中国に留学したい」と彼女は目を光らせながら私に言った。その時、人種差別で苦しんでいた彼女にとって、中国語の授業が登校する際の唯一の支えだったらしい。そんな彼女を抱きしめ、彼女のことを応援することにした。

私の印象の中の中国はとても良い国で、そこの人たちもとても親切で、留学した頃はそこでたくさんお世話になりました。何も知らない私に丁寧に中国語を教えてくれた先生、私のために日本語を勉強したクラスメイトは中国で留学するのが不安だった私を支えてきました。さらに、街で電車に乗ると老人や子供に席を譲る若い人、そしてお金を忘れた旅人にバス代を奢る人、情熱の中国人の友人からのおもてなし、道に迷う外国人たちに道を教える人。日進月歩で発展していく中国、ここではたくさんの愛と多くの文化が共存している。そんな環境の中で私は自分の居場所を見つけることができた。だから私は中国に行ったら、きっとあなたの居場所があるよと彼女にも励ました。そして、今一生懸命頑張っているあなたにはきっと良い将来が待っているという気持ちを込めて彼女に中国語の「前程似」という四字熟語を送った。それには未来が錦のように輝かしい、という励ましの意味が込められていた。 

彼女と同じ夢があり、中国語を話すと馬鹿にされてしまう私を今日まで支えてきた言葉でもあった。彼女は私にお礼を言って家族と一緒に帰った。しかし、感謝すべきなのは私の方だった。彼女の中国語に対する熱意は、私にとっても自信になった。見えないところで私と同じ夢を持ち、私と同じく中国を愛する人たちがいたのを知り、私に中国語を勉強する意味を見せてくれたのだ。

私はこれからも中国と中国語について勉強していき、そしてもっと多くの人に中国語を勉強する意味と愛を届けたい。また、いつか「中国語」という橋でたくさんの人を繋げたいと思う。

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