日本から繋ぐ中国

宮坂宗治郎

「コロナ」、この単語を聴かない日はなくなりました。日々のニュースで見ない日はありません。世界中の人がマスクを付けるようになり、まるで世界が変わりました。そして、各国が他の国に行くことさえ容易ではなくなってしまいました。それにより国際交流は激減。日中交流も例外ではありませんでした。

私は日本で日中友好のボランティア団体のスタッフをしています。ボランティアではお花見、餃子を作りながらの料理交流などの企画、運営を行っています。しかし、昨年度よりコロナが流行り始めると、瞬く間に企画していたイベントはすべて中止となりました。日中交流の場はコロナにより奪われてしまったのです。もちろんイベントを開催できるのであれば、開催したい。でも、コロナが落ち着くまでは「我慢」、そう思いながらスタッフ全員ですべてのイベントを見送ってきました。

しかし、見送り続けてどれだけの日々が過ぎただろうと思うようになった頃、ボランティア団体のスタッフがオンラインイベントの企画を提案するようになりました。とは言え、その提案を知っても、私はオンラインで本当の交流などできず、中途半端になると半信半疑に思っていたのです。

しかしながら、今の若い人は昔に比べ、オンラインの利用頻度が高いこと、世の中がテレワークなどの急速な普及により、オンラインに抵抗がなくなってきたことを少しずつ実感するようになってきました。

そんな時、ボランティアスタッフの一人が東京オリンピックをテーマに、日中双方の学生がどのようにオリンピックを感じたかを発表するイベントの企画を提案したのです。私はスタッフを受けることにしました。初めてのオンラインイベントスタッフです。一年延期、無観客など異例の東京オリンピックを今の若い学生がどう感じたかを聴いてみたいという興味もあったのです。

そして、このオンラインイベントを実際に行い、日本と中国の学生それぞれ二名ずつに発表してもらいました。

驚きました。中国の学生も日本の学生も写真、動画などを利用してパワーポイントにまとめていたのですが、画面共有することにより参加者全員が目の前で見ることができるのです。これは見やすいと感じました。それだけではありません。中国の学生が発表というのは在日中国人学生の発表と思っていたのですが、中国の大学からオンラインで参加して、発表してくれたのです。今まで企画したイベントは直接会って、対面で交流するイベントばかりでしたが、それはつまり、日本にいる人しか参加できないというデメリットでもあったのだと痛感させられたのです。日中交流と言いながら、ボランティアの対象にしていたのは日本にいる中国人に絞られていた、そう感じたと同時に世界の広げ方を知れたように思いました。

また、それぞれの学生が発表してくれた内容にも、とても感心させられました。メディアなどと同じようなことを言うのではなく、それぞれがしっかりと自分の意見を持ち、しっかり語ってくれました。多くの大人を前に、自分の意見を語ることは容易ではなかったはずです。

イベント終了後に思ったのは、コロナなんかのために、若い人たちの交流が妨げられてはいけないということでした。そして、オンラインを利用すればコロナに影響は受けない、それどころか中国からも参加できる。これは、モチベーションの下がったボランティア魂に、もう一度火がつきました。

私はこれからもボランティア団体の仲間たちと日中交流のイベントを企画、運営し続けます。そして、今はオンラインも利用して日本と中国にいる若い人の交流を支援していきたいと思います。いつかその若い人たちが対面でも交流できる日を待ち望んで。

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