訪中の感想

 

  石塚 諒平
 今回私が一番心に残っているのは劉徳有先生の丁寧なお言葉遣い、所作です。その一つ一つが洗練されていて、見ている方が見惚れてしまうくらいに心を惹きつけました。私も劉先生のように、振る舞いで相手を釘付けにできるような人間になりたいものだと思いました。そして当たり前といえば当たり前ですが、我々の行動が相手にとっての日本人のイメージを形成していくことを自覚しました。日本にいると、私達は大勢いる日本人の中の1人ということで、振る舞いや行動がそこまで目立ち、注目される事はありませんが、ここ中国では違います。私達は日本人の「顔」として、中国人の方々の記憶に残り、今後の彼らの日本人に対する基礎的なイメージとなるのだと改めて感じました。今回同行してくれた中国人の学生のみんなに、良いイメージを持ってもらえていたらとても嬉しいです。

 北京展覧館の見学では、経済発展著しい中国の今を知ることができました。展示されているものを見ておおよそこういう事が書かれているのだろうとの大枠を掴むことができました。前にも誰かが書いているように、私もここでは中学生の敬礼が最も印象的でした。私には彼らが誇らしげに、そして楽しげに展示品を見ている姿や国旗掲揚のシーンに敬礼している姿は少し羨ましく映りました。学生との交流では、日本に関心を持ってくれている学生と楽しく交流することができ、彼女たちとの会話を通じて日本の良さを再確認できました。

 天津の雰囲気に魅了された三日目でした。租界地になった歴史から、ヨーロッパに来たと頭が勘違いするような洋風の建築物が建ち並ぶ、とても落ち着いた雰囲気の天津の街が私は気に入りました。天津外語大の学生は、僅かな時間しか交流できない我々のことも温かく迎え入れてくれて、嬉しい限りでした。眼鏡をかけた女学生はみんなの作文に目を通したよと言ってくれていたところに驚きを隠せませんでした。見習わなければならないと強く感じました。そして話は南京に移りますが、南京の街並みは新しさと古さの調和がとれていて、住みやすそうな街に見えました。明日からしっかり南京の街を楽しみ、旅の折返しをしたいと思います。

 私が南京に来るのは今回で2度目で、前回に行くことのできなかった場所を今回で訪問することができました。前回は時間の都合上ソフトな観光をしただけで、今回訪れた場所のように歴史がある場所には行けていなかったため、以前にも増して南京のこと、もとい中国のことを深く勉強することができたと思い、満足しています。

 このパンダ杯研修旅行での最も重要であると思われる南京大虐殺紀念館の見学を終えました。もともと私は歴史に興味があり、この事件についての本を読んだり、日本の政治番組を見たりして個人的に勉強していました。日本側と中国側ではこの事件についての立場が異なり、今でも度々両国に大きな論争をもたらす非常にセンシティブな問題となっています。私のような一般人に求められる姿勢は、「未来志向を持って、お互いの関係をこれから再び作り上げていく」というものではないでしょうか。その土台としてまずは私の経験を身近な人に伝え、しっかりとそれをシェアしていくことだと思っています。この問題について、日本と中国が国レベルで完全に和解するのにはまだ暫く時間を要するかもしれませんが、お互い決して安易に関係を切ったりするのではなく、忍耐強く向き合っていってほしいと思います。

 上海環球金融中心に展示されていた過去の上海の航空写真は3倍速、4倍速の中国のスピード感、ダイナミックさをまざまざと私に見せつけてきました。日本ではどうしても出来ないような奇跡的な発展を中国は成し遂げたのだと、心の底から感心させられました。これまで以上に変化が激しく不安定なこれからの時代の中で、我々日中両国の若者世代が手を取り合って、将来の困難を乗り越えていけるような固い絆で結ばれるように一人ひとりが行動しなければなりません。元ドイツ首相のヴァイツゼッカーの発言に「過去に目を閉ざすものは現在に対しても盲目である。」というものがあります。未来志向で両国が関わっていくためには、日本の若者はまず歴史を、そして相手のことをしっかりと知ることが不可欠です。今回の旅を通して、いかに日本国内での中国の認識がズレていたのか学ぶことができたと思います。そのギャップを埋めることが将来の友好を作っていくと信じて、私はこれからも中国と関わり続いていきます。



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