伝え方について


鈴木 あかね

 この旅に行くきっかけとなった作文にも書いたように、私は中国の興隆にある村のおじいちゃんから平和への想いを受け取り、それを繋げたいと思っています。その第一歩としてもこのパンダ杯に出させていただいたことはとても大きな挑戦であり、成果にもなりました。

 しかし「もっと伝えたい」という気持ちと同時に、自分のできることへのあまりの小ささに劣等感を抱いていました。だから、今回の旅も「中国を自分はどう伝えるか」を自分自身の課題として持って出かけることとなりました。

 今回の中国の旅では、日中の違い、また共通点を実感することができました。たとえば共通点でいうと、まだうまくは言えないのですが学生さんたちと関わっていて「日本人と変わらない」と思えたこと、またまた何人もの方が話してくださった「平和への想い」もその一つです。

 「中国と日本には多くの共通点もあるし、文化の違いがあることも、どちらも率直に伝え受け取るべきです」、また過去の歴史については「日本人は忘れない。中国人は過ぎたことは過ぎたことにしよう」と劉徳有先生が話してくれました。そして「憎しみではありません。対立ではありません。戦争ではありません。平和です。合作です」と言いました。劉徳有先生の語り方はとても穏やかで、たまにユーモアもあって、なのにその中に大きな力強さがありました。

 南京大虐殺遭難者記念館の館長さんのお話しの中にも大きな平和への想いを感じることができました。彼は一本の川にたとえて日中関係のことを話してくれました。「日本と中国が川の両側にいるならば、ちゃんと歴史を学ばず時間がたてば川幅は広がり、川は深くなる。綿を背負う人が渡ろうとしたならば、綿は水を吸って重くなる。川を渡るには歴史を第三者の目で見ることが必ようで、そうしたならば日中関係はよくなる」といった話でした。

 これらの話を聞き、過去の歴史を知る重要性、また現在の両国の人々が関わりあうことの重要性を感じました。また彼らの平和への想いは、日本の同じ想いを持っている人たちとも共通していました。中国にもまた平和を願う人、そのために活動する人がいることを再確認することができました。またこれらの話を聞いたからこそ、今後の日中関係のために自分もこの平和への想いの輪を繋げたいと強く思いました。

 共通点があった一方で、相違点もありました。特に印象的だったのは、南京や上海の目覚ましい発展ぶりです。首が痛くなるほどの高層ビルが立ち並び、夜でもまぶしいほど明かりがあるその風景に本当に驚きました。東京に帰ってきたとき、いつもなら都会の光がまぶしくて「さすが東京だなぁと」と思っていたのに、今回は東京がやけに暗く思えたのです。こんな風に感じたのは初めてでした。日本最大の都市であるはずが、上海などを見たあとでは歯が立ちませんでした。こんなにも中国が発展していたことに大変驚きました。もちろんメディアからは、中国の目覚ましい経済発展などといった話は聞くものの日本にいてはわかりませんでした。しかし、今回その風景を実際に目で見て、中国の発展ぶりを実感したのです。

 今、この旅を振り返りこの課題の一つの答えが見つかったように思います。それは、当たり前のことかもしれませんが、まず家族や友達から伝えることを始めようと思えたことです。それまでの私も家族には自分が見てきた中国のことを伝えてはいましたが、丁寧なものではありませんでした。それにそのような行為はあまりにも小さい力でしかないように感じてもどかしく思っていました。しかし今回旅に参加させていただき、多くの人に出会い伝えたいことが以前にも増して大きくなりました。中国で感じてきた共通点や相違点、平和への想いも学生たちのことも、驚くほどの中国の発展ぶりも話したいのです。また同じ中国への思いを持つ人たちと関わり話したことで、まずは自分のできること、家族でお友達でもいいから、自分の好きな中国、見てきた中国を伝えればいいのだと思えたのです。それを続けるけることが大切で、考えてみれば私だって一人の人が中国のことを教えてくれたからこそ、回りまわって現在こうして繋がることができたのです。その人の一言があったおかげで、こうして中国につながれているのだと思い出させてもらいました。もしかすると、あの時の自分のように私が話したきっかけで、つながる人がいるかもしれません。だから、大きいことじゃなくても、小さい規模でもいいから伝えたいと今思います。私のできることは微力かもしれないけど、もし誰かにこの想いが届いたのなら、それで大成功です。微力は誰かにつながってゆくことで、大きな力になるのだと思います。だから以前と持っている伝える力は変わらないかもしれませんが、長くこの思いを誰か一人でもいいから届けたいと想います。

 本当にありがとうございました。



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