老舎も武術を練習した?

 青島の清江路に位置する武術館では、鴛鴦蟷螂拳の5代目伝承者である孫日成さん(54)が、6人の弟子に拳法の指導をしていた。鴛鴦蟷螂拳は、左右対称の動きを通して体全体がいい具合にバランスを保てることから、健康に良いと孫さんは言う。1930年代、著名な小説家の老舎は、青島で教師をしていた際、人力車の車夫を主人公として底辺の労働者たちの悲惨な運命を描いた文学作品『駱駝祥子』を書き上げた。青島滞在中は毎朝早起きして、雨の日も晴れの日も鴛鴦蟷螂拳を練習したそうだ。


 「23歳の頃から父について武術を練習するようになり、子どもの頃から大変な思いをたくさんしましたよ」と孫さん。基本姿勢の練習はいつも膝を曲げた空気椅子の状態で10分間静止。苦しい修行に耐えかねて諦めようと思ったこともあったが、鴛鴦蟷螂拳への理解が深まるにつれ、孫さんはこの伝統武術の伝承を自らの使命と見るようになった。ここ10年、孫さんと父親は毎週欠かさず地域や学校に出向いて、無料で拳法を教えている。新型コロナの影響でやむなくオンラインに移行したが、二人は依然として鴛鴦蟷螂拳の知名度を高めるために尽力している。




 青島には、これらの他にも小麦粉で作る菓子や主食に模様を付けるのに使われる型「果模」や、新石器時代に生まれた陶器「黒陶」、梨の木に彫刻を施した「木版年画」、そして緻密な「核刻」がある。この海辺の町で生まれた多種多様な文化遺産の数々は、長い時間をかけて伝承され、発展し、現在もなお青島人の生活の中に生きている。