人気スポット・紡織谷

 青島の急速な都市発展は、「母なる産業」と呼ばれる紡績業と切り離すことはできない。市北区四流南路に位置する紡織谷は、過去1世紀にわたる青島の発展を見守ってきた場所だ。


 1902年、中独合弁企業の「徳華糸繰り工場」が設立され、中国で最初の紡績業の拠点の一つとなった。第1次世界大戦勃発後、日本の紡績業者が青島で事業を拡大するために工場を開設するようになり、青島の紡績業界は次第に日本の業者からなる「九大紡績工場」に独占される形となった。新中国成立後、青島には九つの国営紡績工場が立ち、その生産力は全国でもトップ3にランクインするまで成長し、上海、天津と並んで「上青天」と呼ばれていた。
 20世紀末、都市の変貌と産業配置の調整に伴い、九つの紡績工場は高層ビルや工業団地に姿を変えた。しかし、旧国営青島第五紡績工場は、古い工場の建物を残したままモデルチェンジを実現した。

 

  現在、その旧国営青島第五紡績工場には、「紡織谷」という新しい名前が付けられている。4万平方㍍を超えるドイツ占領時代のバウハウス式建築を再開発・整備してテーマ別の空間を作り、中国で規模が最大の紡績をテーマにした博物館「青島紡績博物館」を開設した。エリア内の建物の40%は歴史遺構として保護され、工業ツアーを体験できるレジャー施設の中心地となり、市民や観光客が集まる人気スポットとなっている。