「夏目友人帳」——心を癒す温かい世界

劉欣竹大連工業大学)

 

 

「夏目友人帳」は画風がよく、意味が豊かな作品だと思います。清新な画風、癒しのあるストーリーを鑑賞すると同時に、私の感情的な共感を呼びます。

主人公の夏目貴志は、普通の人間とは違います。彼は普通の人には見えない妖怪の世界を見ることができます。この能力のため、人々は恐れて彼を疎遠にします。何か悪い妖怪に傷つけられることさえあります。彼はこの能力を持ちたくありませんが、抜け出すことができません。しかし、多くの妖怪に出会うにつれ、夏目はだんだん妖怪たちの良さを発見します。彼は徐々に妖怪の世界を好きになってきました。妖怪世界の感情はもっと純粋で真摯です。ここで彼は妖怪の友達ができて、自分の世界を持つことができました。世間から見れば、彼はひとりぼっちでしたが、彼の心が豊かになってきたことは誰にも知られていなかったです。

 アニメの中で、私が一番感銘を受けたのは小妖怪の影茶碗の話です。影茶碗は人間が大好きだから、古い民家の床下に身を寄せています。もし災難がこの家に降臨するならば、家の中であちこち走って、人類に知らせます。気が向いた時、人間の身代わりとして、災厄を受けます。ある夜、夏目は慌てていた影茶碗を見ました。この茶碗は机の上をあちこちに走っていました。地面に落ちそうになり、幸い夏目にキャッチされて一命を取り留めました。しかし、影茶碗は何も言わずに行ってしまいました。次の日、夏目は突然一匹の妖怪に襲われ、ニャンコ先生が止める間もなく、妖怪は夏目の肩にかみつきました。不思議なことに、夏目は怪我しませんでした。家に帰ってきたとき、夏目は塔子さんが地面で何かを見ているような気がします。そこまで歩いてみると、茶碗の破片でした。夏目ははっと、妖怪に左肩にかまれたとき、耳元で聞こえてきた磁器の割れた音を思い出しました。なるほど、夏目の命を救ったのは影茶碗です。俺のです、俺のなんです。とても大事な...」夏目は独り言を言いながら、うずくまってその破片を拾います。

 夏目と一度しか会ったことのない小さな茶碗が、自分の命で夏目の命を救いました。世界で、影茶碗が来たことを知っている人は夏目だけかもしれません。そのためにこそ、茶碗が夏目のために命をかけるという決心を固めたのでしょう。影茶碗のように、細かいところに心を動かすエピソードはたくさんあります。これらの妖怪は勝手に訪ねて、勝手に立ち去っていきます。しかし、接点があると、誰も気づかれなくても、夏目の心をずっと支えてくれると思います。

現実生活の中で、私たちの身の回りにもこれらの“小妖怪”がいます。例えば、ずっとそばにいて家族や友達とか、あまり接することがありませんが、連絡を取り合っている同僚とか、偶然出会った見知らぬ人まで…。彼らは私たちに勇気を与えて小さな感動を集めて、私たちがいかなる困難を克服することができます。

 「夏目友人帳」は、熱血アニメのような激しい殺陣、複雑なストーリーがありません。感傷的なアニメのような苦しく、落ち着いた雰囲気もありません。「夏目友人帳」は、いつ思い出しても心に小さなドキッとした懐かしさがあります。その淡くて、忘られないものが、ずっと心の底に残っています。作者は私たちに心を癒す温かい世界をもたらしてくれました。それがこのアニメの素晴らしいところだと思います。

 そして何よりも、この優しい暖かさこそ、今世界の人々にとって、最も大切なことだということを私は知ることができたのです。


 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850