中日友好 『雨にも負けず』に思うこと

朱潔梅嶺南師範学院

 

 「雨にも負けず、風にも負けず。

 雪にも夏の暑さにも負けぬ。

 丈夫な体を持ち、慾はなく、決して怒らず、いつも静かに笑っている。」

のフレーズは有名なの文豪である宮沢賢治の『雨にも負けず』という遺作の                                                                 抜粋です。

 ある日、『宮沢賢治の詩集』を読んで、この遺作に出会いました。ほかの詩に比べて、この詩は妙に強い力を持って、激しく音絶え大雨のように私の心に響いています。

 四川大地震、台風「リマチ」などの自然災害が襲ったとき、我々中国人は「志が城をなす」や「天災は非情であるが、人間は情義がある」などと信じて、支え合って困難を直面しました。それと同様、日本人も自然災害が襲来するとき、「雨にも負けず、風にも負けず。雪にも夏の暑さにも負けぬ……」という簡単な言葉を静かにすっかりと覚えて、新たな生活を送るために努力に努力を重ねます。この言葉がくれた勇気は人々に前向きに生きるエネルギーになると思います。

 どうして人間は風雨にも負けずに固く生き続けようとしますか。その答えは「愛」だと思います。自分の理想への「愛」、大切な人と物への「愛」があるからこそ、その愛を守るために、いかんとも必死に敵に一目置かれように努力します。

 宮沢賢治は1896年に豊かな家庭に生まれました。それにも関わらず、彼は家業を拒否し、教師の仕事もやめたし、自給自足の農民になることにしました。生涯未婚でしたが、その愛をすべて周囲の人々特に子どもや農民に与えました。自身の重病、一人暮らしの苦境や作品の低迷、その上妹の死が彼の心を痛めつけましたが、苦難を乗り越えろとしました。重病を患っている賢治は「雨にも負けず、風にも負けず。」を書いたのがどれほどの粘り強さか、想像以上出来ません。彼は苦労している庶民に愛を注いで、レフ・トルストイと同様に、全人類に対する哀しさと思いやりを作品に表れています。私は自ずから宮沢賢治から中国古代の有名人を思い出しました。「日照りの時は涙を流し、寒さの夏はおろおろ歩き」は、杜甫(と ほ)の「安くんぞ得ん広廈千万間、大いに天下の寒士を庇いて倶に歓顔せん、風雨にも動かず安きこと山の如し。」、範仲淹(はんちゅうえん)の「天下憂えに先んじてえ、天下の楽しみに後れて楽しむ」と同じような心構えではないだろうか。    

 この詩を書いたとき、田舎に住む宮沢賢治は重病にかかっていて、二年後の秋に、37歳の若い詩人が亡くなって、枯れて落とした葉のごときに土地に長眠しています。しかし、奥深い詩に含んだ愛と力が時空を越えて、いつでもどこでも日本人の心に根付いて、風雨にも倒れなくて、緑に茂った大樹として成長しています。

 福島核災害の時、福島県のある小学校の先生は黒板にこの詩を書いたことを始まりに、日本各地でこの詩を引用して、力を合わせて難関を乗り越えるように励ましたことがありました。すると、一部の重要な精神的支柱として、東日本大震災後の復興への自信と闘志を呼びかけました。

 ですから、賢治は日本で公認された「国民的作家」になった大きな理由に、彼の作品と人生が共に、純粋な愛と絶え間ない努力を見せてくれたことがあります。

 この利他の精神はいかなる時代にも、どの国にも欠かせなくて、この光は消えません。百年前、中国は国家の存続を脅かすほどの動乱を経験し、自立な新中国を立って、科学的な民主主義を追求することを目指する愛国者たちは国内外の強権と旧社会の圧迫に直面し、死亡にもめげずに明らかで確固とした信念を貫き通して弱い中国を一変させました。さらに、最近、中国の香港を守るために、正義で勇敢な香港警察と愛国愛港の志士は暴動をものともせずに、命の危険と不当な言論を押し切って横行している暴徒と戦いました。要するに力が強くなるのは愛があってからこそだと思います。

 よって、愛をしっかりと抱いて、目の前の困難を恐れずに前向きに歩いてこそ発展の希望があります。古来から、中日の両国民は相手の文化に気に入って、珍しい友誼を愛していますので、新時代の多様化な国際現状の下で、いろんなチャレンジと摩擦に困りますが、平和共存な中日関係の築きという手向かうことができない時流に応じなければなりません。だからこそ、中日青少年として、最も新鮮な生命力で中日友好の壁を破るエネルギーの注入を絶えないべきです。

「そういうものにわたしはなりたい」という言葉で終わるこの詩は、宮沢賢治にとっての「理想の姿」を綴ったと言われています。よって、この詩の最後のとおりに、風雨にも怯えなくて、愛を守て伝える人になりましょう。

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