地域協力の新モデルを切り開く上海協力機構(二)

今年6月、上海協力機構(SCO)元首理事会第18回会議が青島で行われる。今回の会議は加盟国正式拡大後初のサミットであり、同機構が「上海エイト」という新たな発展段階に入ったことを示している。宣言の発表や多くの重要文書への署名を通して、各国首脳が今後の多国間協力について計画を立て、新旧加盟国の共通認識をさらに固め、独自の影響力と団結力を高めていく。 

新たな発展モデルと構築アプローチを選択

国際構造に深刻な変化が起きている中で、SCOは時代の潮流に順応し、革新の理念で多国間協力の急速な発展をリードしている。中国の指導者が総括・提起した、「相互信頼・互恵・平等・協議、多様な文明を尊重し、共同発展を目指す」を基本内容とする「上海精神」と、やはり中国が積極的に提唱する新安全保障観と新協力観は、SCOが協力を展開する上での基本準則と核心理念となっている。この新しい準則と理念は冷戦思考と強権政治を断固として排除し、パートナーにはなるが同盟は結ばないことを主張し、地政学やゼロサムゲームに反対し、地域諸国及び多くの新興経済体と発展途上国の利益を力強く守るだけでなく、地域協力の新たな方向を体現している。SCO加盟国の経済発展レベルにはばらつきがあり、各国間の社会制度、文化・伝統、地政学的環境、国防能力にも明らかに違いがある。地域協力を展開するには、まずこうした現実的な格差を認め、相互に尊重し、誠意をもって待遇することが必要であり、それから初めて最大の共通認識を探り、流れに乗って進み、確実で合理的な目標とアプローチを確定し、多国間協力のポテンシャルを徐々に掘り起こしていけるのである。 

様々な障害にぶつかりながらも、SCOの発展はその歩みを止めず、ますます多くの国・国際機関が密接な協力展開を望むようになっている。2004年にモンゴルをオブザーバー国として迎えてから、前後してオブザーバー国6カ国、対話パートナー国6カ国を受け入れ、協力の地理的空間は絶えず拡大してきた。さらに国連総会のオブザーバーにもなり、国際社会でSCOとして建設的意見を述べることがますます多くなった。それには以下のような理由がある。①指導者の政治的意志。戦略的パートナーという性質を持った2国間関係があること、特に加盟国の元首間に良好な意思疎通・連絡体制があることは、多国間協力に有利なハイレベルな方策決定に役立っている。②堅固な法的基盤。SCOは「憲章」「加盟国長期善隣友好協力条約」、「三つの勢力」に打撃を与える「上海条約」「対テロ条約」「対過激派条約」など重要文書に署名しており、協力の基本原則と方向を確立している。③複数分野にわたるメカニズムの保障。SCOは毎年元首会議と首脳会議を開催しているほかにも、10余りの閣僚級会議メカニズムも始動しており、一部分野には専門家グループや上級管理職会議も設けられている。④大国の牽引作用。中国とロシアの全面的な戦略的協力パートナーシップが地域レベルまで広げられていることが、SCOの広範な多国間協力展開を可能にする前提となっている。中国がSCOで果たす実質的貢献は特に際立っている。例えば、多国間枠組み内で他の加盟国に220億ドル余りの優遇借款を提供したり、中国が資金を出して各種研修や交流活動を開催したりしている。

(孫壮志 中国上海協力機構研究センター執行主任)

「北京週報日本語版」2018515
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