「松原」と言って、日本人読者の皆さんが真っ先に思い浮かべるのは「松が生い茂る林」だろう。しかし、中国吉林省の人々はなじみ深いふるさとの都市――松原市をすぐに想起する。吉林省中西部に位置する松原市は、松嫩平原にあり、松花江(ユーラシア大陸の北東部を流れる黒龍江最大の支流)が流れている。広々とした平原と豊かな水源が相まって、「穀物・肉・油・魚が豊富な町」として知られ、独特な地質条件によって生まれた荒凉とした「潜食」地形が見られる。ここは景色がきれいなだけでなく、北東アジアの古い民族が大昔に建てた王城の管轄地域だったため、長い歴史を誇っている。松原市の管轄下にある蒙古族自治県では、一味違った素朴な生活様式と民族文化が今でもよく保たれている。
今月号の「美しい中国」は、読者の皆さんを松原市へご案内する。遺跡を通して歴史豊かな古い王城に思いを馳せ、「泥林」で太古時代の雄大な景色を味わい、査干湖のほとりで暮らす蒙古族の情熱的なおもてなしと、多彩な民族文化を満喫してもらいたい。