「井」の字の形をした町
 松原市を出発し、西へ車を走らせて約1時間後、乾安県に到着した。町は吉林省の北西部にあり、八卦(森羅万象を象徴する古代中国の記号)の北西方向の「乾」という方角に合致することから名付けられた。「乾安」には、吉林省の北西が末長く安定するように、という願いが込められている。
 町に入ると、白い壁と青い屋根の平屋建ての家々が整然と並んで、真っすぐな道路がその間を走っていた。空から見下ろすと、町は「井」という漢字のようにきっちりとしている。このような特別な配置は、村の由来と深く関わっている。
 当初、ここは広い遊牧地だった。開墾して農耕地を作り、農民の居住区を設置するため、ここでは計画的に土地を3四方の単位に分ける政策が行われた。これが「井」の形をした町の由来だ。より良く管理するため、当時、吉林省では村に名を付ける際、独特な方法を取り入れた。それは、北から南、東から西に、『千字文』(『三字経』と並ぶ古代の子ども向け早期教育学習書)の文字の順番に町ごとに1文字を与え、その後ろに「字井」を加えるという方法だ。例えば、「譲字井」や「天字井」などである。この名付け方は、管理するにも覚えるにも便利なため、これまで100年近く受け継がれている。こうしてここは、古代文献から順番に文字を取り入れて地名に使っている中国唯一の村鎮となった。





 

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