深圳を変えた3分野の革新

 無名の「小さな漁村」から人口2000万人超の現代的な国際都市へと、改革開放政策実施後、中国が設立した初の経済特区――深圳は、世界の工業化都市化現代化史上の奇跡をつくり出した。

 3日に1階分のペースでビルを建てる「深圳スピード」から1日に51件の発明が特許を得る「中国クオリティー」まで、新時代を迎えた深圳はいっそう意気揚々と前進し続けている。

制度のイノベーション

 中国の改革開放の実践は、深圳の蛇口から始まった。40年間で、深圳の経済は飛躍的な発展を遂げた。1979年、深圳の国内総生産(GDP)はわずか1億9700万元で、1人当たりGDPは606元だった。2017年、深圳のGDPは2兆2400億元、1人当たりGDPは18万3100元となり、GDPの年平均成長率は23%に達した。中国経済の中心都市となった深圳からは、華為(ファーウェイ)、招商銀行、騰訊(テンセント)など、「フォーチュングローバル500」にランクインしている企業が7社誕生した。また、同ランクイン企業のうち200社以上が深圳で投資を行っている。

 習近平総書記は1212月に深圳を視察した際、「深圳は改革開放政策を最も早く実施した都市であり、影響が最も大きく、最も優れた経済特区でもある」と指摘した。英誌『エコノミスト』も、「全世界に4000カ所超ある経済特区のうち、最も成功した手本は『深圳の奇跡』だ」とその成果を評価した。

 最初に「大釜で炊いた飯(一律の待遇)」のような平均分配制度を打ち破り、土地競売の「最初のハンマー」を鳴らし、最初の為替スワップセンターを設立し、率先して幹部の職務終身制を廃止した。この40年間に、深圳は数千の「国内第一」をつくり出した。その過程で、競争の観念、市場の観念、契約の観念、情報の観念などが次第に形成され、中国の現代化プロセスにおいて、時代の息吹、イノベーションの息吹を最も備えている精神文明を切り開いた。

 今の深圳は依然として起業家の「エデン」だ。ここには、大胆に試行錯誤をする、遠い未来を見通す、勇敢に時代遅れの慣習を刷新するといった改革者の特質がすでに深く根付いている。この5年間、「特区の中の特区」とたたえられた前海では、年平均3万社以上の企業が誕生し、累計300項目を超える制度上のイノベーションがつくり出された。深圳は、新たな改革開放における先駆者となっている。

科学技術のイノベーション

 深圳のこの40年間の発展を振り返ってみると、科学技術のイノベーションは第一の原動力といえる。

 騰訊の取締役会代表兼最高経営責任者(CEO)の馬化騰(ポニーマー)氏は、19年前の秋をよく思い出すという。当時、人々がすでに「経済発展にはイノベーションによる駆動が必要」という考えを持っていたため、深圳は「ライチ祭り」を中止し、第1回中国国際ハイテク成果交易会を開催した。まさにそこで、馬氏は、騰訊の発展史上における最も肝心な、最初の投資である220万を得たのだった。

 月日は流れ、騰訊、華為、大疆(DJI)など、科学技術イノベーション型の大企業は、深圳で誕生し、成長し、そして世界へ進出した。深圳市衆合聯科学技術有限公司代表取締役で、99DNA技術の開発者である李開盛氏は、次のように述べている。「深圳の科学技術がよく知られているのは、ここのイノベーション環境が開放的だからです。学術や科学研究にしろ、職場環境にしろ、深圳には、世界のイノベーション人材と資源を引き寄せる大きな魅力があるのです」

 

 目下、国立スーパーコンピューティングセンター、大亜湾ニュートリノ実験室、国家遺伝子バンクがすでに完成し、実用化されている。1617カ所に上るイノベーションの担い手は、国民経済社会発展の主要分野をカバーしており、イノベーション人材を集め、イノベーションの成果を上げる重要なプラットフォームになっている。

 深圳市発展改革委員会の最新データによると、18年上半期、深圳のイノベーション投資は比較的速い成長を保っており、全社会の研究開発投資は476億3000万元に達し、対GDP比4%以上となり、世界の先進レベルに達した。

 情勢が目まぐるしく変化する40年間だった。しかし、イノベーションを行う勇気と「不可能」を打破する決心は今も変わっていない。

管理のイノベーション

 いつの頃からか、「深圳に来たなら、深圳の人だ」という親近感に満ちたフレーズが、ここに根を下ろして奮闘する数多くの若者を励ましてきた。現在、一連の措置によって、深圳は、より多元的で包容力のある、求心力に満ちた都市文化を不断に育んでいる。

 充実した公共サービスは、人に「温かさ」を感じさせる。新卒者に7日間の無料宿泊と長期の就職指導を提供する「青年の家」は、多くの地方学生の「深圳の夢」のスタート地点となった。「居場所を見つけたようだ」という言葉が、彼らに共通する気持ちを表していた。

 経済発展にはイノベーションによる駆動が必要であり、都市管理にも同じようにそれが必要だ。深圳市政府発展研究センター主任の呉思康氏は次のように話す。「ビッグデータを利用して都市交通を管理し、『顔認識システム』を利用して交通事故の調査処理をしています。科学技術に頼ることによって、有限の人力物資を生かして、ますます巨大化する都市を効率的に管理できるようになるのです」

 以前、社会管理にまつわる業務は政府が一手に引き受けていた。現在では、各方面が共に業務に参加するように先導するプラットフォームが築かれている。共同建設、共同管理、共同享受のできる社会管理の仕組みが深圳で形成されつつあるのだ。

 制度、科学技術、管理、どの分野のイノベーションにしろ、深圳の改革開放の歩みは、思想解放対外開放こそが、中国が立ち上がり、豊かになり、そして強くなるのを実現する唯一無二の道であることを十分に証明している。
 

人民中国インターネット版

 

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