勇敢に踏み出す第一歩

河北北方学院外国語学院日本語学部2019級 景

 

以前、進学する大学と専攻は自分で決めるか、それとも両親の意見に従うか迷っていた。そこで、私は日本のペンフレンドにメールを送り助言を求めた。返事には、自分のやりたいことはどんどん挑戦し、自分の夢は自分で叶える。結果はどうであろうと自分で責任を取る。将来に後悔してはいけない。あなたはもう大人になるのだから、自分で決めたらいいんだよ。とあった。そして、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』という映画を見るよう薦められた。

この映画の中の一登場人物の魚屋ミュージシャンは好きな音楽を続けるべきか、それとも魚屋を継ぐべきか迷っていた。また、別の登場人物、ペンネーム「グリーン・リバー」も未婚の身で子供を生み一人で育てられるか、今後の生き方について迷っていた。他にも、この雑貨店には生き方や自分の進む道に迷っている人々が、どう生きるべきか、どう自分の道を進めばよいのかと雑貨屋に悩み相談の手紙を送ってくる。しかし、私には彼らは初めから自分が進むべき道や生き方はわかっていて、ただ自分に自信がないから雑貨店の悩み相談に、背中を押してくれるような返事を求めているのではないかと思った。

この悩み相談の手紙の投函者と今の私は同じではないかと気付いた。私のペンフレンドがこの映画を薦めた理由がわかった。

私が大学をどこにするか決める時、両親は家から近い大学を勧めてきた。そして、将来は私に地元の中学か小学校の先生になれと言う。親が子供の進路を決める。それは、いつまでも子供を手元に置いておきたいからだ。これは私達の周りでは珍しいことではない。しかし、私は故郷を離れ、どこか遠くの都市の大学で自分の学びたいことを勉強したいと思っていた。ずっと同じ所にいたのでは視野を広げることができないし、一生親元から自立できないと考えたからだ。しかし同時に不安もあった。私が選んだ道が間違いでないか。後で親の言うことを聞いておけば良かったと後悔しないか。今こうやって人生の岐路に立っている自分が怖かった。すったもんだの末、ようやく両親を説得し、好きな学校で勉強することができた。これにはペンフレンドの助言と、この映画が後押ししてくれたことは言うまでもない。

映画の中のラストシーンで雑貨店の主人が最後に書いた手紙の一節に「今のあなたには自分の道が見えていない。でも、どうか絶望しないでください。どうか諦めないでください。あなたの未来はまだ白紙です。白紙だから、どんな未来も描けます。すべてがあなた次第なのです。何もかもが自由で可能性は無限に広がっています。その人生を悔いなく燃やし尽くされることを心より祈っております。」とある。この言葉が一体どれだけ多くの人に勇気と自信を与えたことだろう。

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