遠きに行くには必ず邇きよりす

重慶大学日本語学部4年生 赵子霈

 

私は『ハイキュー』という日本の漫画が大好きである。その作品から学んだ「遠きに行くには必ず邇きよりす」という言葉は、私に人生の生き方を教えてくれた。

『ハイキュー』の主人公の日向翔陽は、身長こそ低いが、超人的な身体能力を持っている。しかし、身長がアドバンテージのバレーボールで、中学校まではずっと負けっぱなしであった。そして高校生になり、天才のセッターの影山飛雄と出会い、やっと「頂き」(スパイクを打つ瞬間の最高打点)の景色を見ることができ、そこからチーム一同で練習に励み、最後はプロの選手になったというストーリーの漫画であった。

私の一番好きなシーンは、ライバルの影山飛雄が全日本ユース合宿に選ばれた時、日向翔陽は自分の能力不足に焦り、呼ばれてもいない県有名選手が集う合宿に勝手に参加した時、顧問の武井先生から「『遠きに行くには必ず邇きよりす』なにかをなすには、一歩一歩順を追って進まねばならない」と言われた。その後、日向はさらに練習に励み、高校バレーの全国大会にも出場し、次から次へと強豪校を倒しに行った。そして卒業後、ライバルの影山はプロの道に進むが、日向は自分の足りないところを補うために、一人でブラジルに行った。そこから一年半の特訓を経て、自分の能力さらに高めてきた。そして、プロになったときは、もう誰にも負けないような強さを身につけていた。ちょうど日向が実力を発揮した時、武井先生の言葉が漫画の背景に現れた。その時、私は涙が止まらなかった。日向は武井先生の「遠きに行くには必ず邇きよりす」という言葉をきちんと理解し、そしてその言葉に従い、その強さを手に入れたと改めて実感できたからである。

現代社会は、科学の発展により、著しく発展してきた。その発展のスピードから、人々は功を急ぐことになり、とにかく成果を上げよう、とにかく手柄を立てようと思うようになった。ちょうど自分の実力のなさに気づいた日向翔陽と同じように。私もそうであった。自分の日本語能力の低さに気づき、とにかく論文も頑張ろう、とにかく能力試験を早く受けようと思って、空回りしていた時期もあった。そして『ハイキュー』という漫画に出会い、武井先生の「遠きに行くには必ず邇きよりす」という言葉に出会った。そこから私は、結果を急ぐことをやめた。今できることを一歩一歩、順を追って進んでいこうと決めた。そして、少しずつではあるが、いろいろな結果が徐々についてきた。

「遠きに行くには必ず邇きよりす」という中国の言葉を日本の漫画を読むことで、改めて理解し、感銘を受け、そして私の生き方に影響してくれたことに感動を覚えたのである。『ハイキュー』という作品は私の生き方を変えた作品と言っても過言ではないような気がする。これからも、その言葉通りに、一歩一歩着実に進んでいくことを心から決めたのである。

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