真の尊重

遼寧大学外国語学院日本語学部2018級 于雅楠

 

世の中には様々な偏見がある。人種差別、性別差別、外見差別などの差別主義者は無論存在し、あまり差別認識しないと自負している私たちも時々無意識に人を色眼鏡で見るようになってしまう。従って、外見などによってわざわざ誰かを避け、誰かを嘲笑うこともある。

今は現代社会なので、人々の文化水準もかなり上昇した。そのため、以上のような現象を消し、男女平等の実現や外見で人を差別しない社会を創るために、あちらこちらでスローガンを展示し、スピーチをネットや大会で発表し、必死に「尊重」という言葉で差別解消を呼びかけている人もいる。しかし、果たしてそれは真の尊重であろうか。

最近話題となった日本人気マンガ『呪術回戦』の主人公虎杖悠仁は私がとても好きなキャラクターである。彼は性格が明るく、思いやりのある子で、いつも人を助けるために全力を尽くしている。私は元々この太陽のような子が好きで、彼が周りの人への態度が分かると、より好きになった。

例えば、彼の同級生野薔薇は彼に「真希先輩のことをどう思う」と聞くと、即座に「どう答えても角立ちそう」と考え、「とても素敵な女性」としか答えなかった。なぜなら、彼は「勝手に女性を評価することがよくない」と知り、先輩を尊重する言い方を選びたいためだ。もう一つの例は悠仁が中学のクラスメートに会った時はすぐに相手のことを思い出した。その子、小澤優子は中学の時にかなり太っており、顔もきれいではなかったが、再会する時はもう瘦せており、見た目がすっかり変わった。にもかかわらず、一目で彼女が小澤であることが分かった悠仁は普段通りの態度を取り、「変わってないなあ」と言った。実は、小澤は中学の時に、自分に普通に話しかけられる悠仁のことは好きで、外見しか見ていない他の男性は嫌いで、今回は「きれいになったから大丈夫」と思い、悠仁に告白しにきたのだ。しかし、悠仁の言動で「自分もあの男性たちと同じで、外見に偏見があるのではないか」と悟ると、彼女は諦め、自分は悠仁にとって相応しくないと理解したのだ。どのような外見であろうと、悠仁はただ相手の魂を見て、周りの人を尊重している。彼はこのような子であるからこそ、周りの皆に愛されているのだ。

真の尊重は何だろう。真の尊重は男女問わず、身分問わず、年齢問わず、心から人を尊敬し、重視する行為である。真の尊重は相手の姿は変わったとしても、心は変わっていない限り、以前のように相手を接することである。真の尊重は言いっぱなしではなく、行動で自然に証明するものである。これは私が『呪術回戦』を読んで得たものというよりは、虎杖悠仁という少年が言動で私に向かって語ってくれた理屈であると考える。

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