おもてなしの心

師範大学外国語学院日本語学部  大学院2年生  朱雯

 

セミの鳴き声に伴って熱情な夏が来ました。家族と一緒にテレビの前で首を長くして2020東京オリンピックの開幕式を待っています。久々に見た俳優が登場したので、うれしさのあまりに「あら、あのドラマの三神教官じゃないんですか」と叫びました。すると、様々な思いが去来して15年前の『アテンションプリーズ』というドラマが頭に浮かんできました。

主人公の美咲洋子は最初から誰でも客室乗務員になれると軽く考えていたが、日々の地獄のような訓練を経て、サービス業の大変さを肌で感じました。一人前の客室乗務員になるために、一生懸命に練習する美咲の姿に心を動かされました機内サービスだけではなく、すべてのお客様に「最高のおもてなし」をする航空会社でなくてはいけないとそのドラマから初めて日本人の丁寧さを実感しました。私は客室乗務員になりたくないが、そのドラマを見てから日本文化に興味を持つようになりました。いつか、そのドラマの飛行機に乗って、日本に行きたいと期待しています。今よく考えてみると、日本との絆は、その時から生まれたのでしょう。

いよいよ、大学三年生の冬休みに、インターンシップのプロジェクトがきっかけで日本に行くことになりました。鬼怒川の温泉ホテルで係員として三か月働きました。入社の初日に、分厚い資料をもらいました。資料を真剣に勉強してから先輩に従って実戦が始まりました。基本的な笑顔、お辞儀、言葉遣い、身振り、案内の流れ、客室の整理整頓や様々な料理の準備など、いずれもサービス業の欠かせない一部分としてコツコツと学んできました。その三か月は、かつてないほどの三か月でした。自分の視野を広げることができただけでなく、学んだことは今でも私の心に深く刻んでいます。お客様と接するには単なるサービスをするのではなく、お客様との一期一会を重要視することこそがより大切なことだと思います。

周知のように、日本のサービス業は世界でも有名です。一体どうしてでしょうか。それは、日本人が互いに助け合い、お客様のことを大切にするからだと思います。もし一つの言葉で言うと、「おもてなし」が最もふさわしいと思われます。「おもてなし」は茶道から始まったと聞かれ、お客や人への気遣いや温かい心が築かれた人々に誇れる日本の文化と言えます。また、それは見返りを求めない精神として、代々受け継がれ、日本の現代的な文化にも深く根付いています。

日本人の働き方を見ると、自然に日本の昔から未来にかけての姿が窺われます。日本の「おもてなし」の精神を中国に伝え、より親切で「おもてなし」の心を持つ中国企業を見たいです。これも日本語の翻訳を専攻とする私たちの重任だと思います。また、今の世界は新型コロナウイルスの憂鬱に覆われているが、このような時代だからこそ、より思いやりのある生活を手を携えて描きましょう。

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