情熱を抱いて生活しよう

吉林財経大学外国語学院日本語科4年生 趙宇軒

 

休暇中に見たすべてのドラマの中で、最も癒されたのが『孤独のグルメ』だ。ドラマの中の五郎さんはいつも一人で食事をしているが、その食事風景はとても楽しそうだった。食事よりも大切なことは何もない。悩みそを捨てて、ただ食事をするだけだ。仕事がどんなに忙しくても、楽しく食事をしなければならない。五郎さんが食事をするのを見るのは一番幸せなことで、私は五郎さんの食事風景に魅了されてしまった。五郎さんは一人暮らしをしながらも、希望に満ちている。

ある時は非常に安い店だが、彼は人間の美味をも食べることができる。ひとりでいても、孤独であっても、おいしいものがあれば、人生の生きがいを実感している。それは、グルメによっておじさんの人生に何かできることがあり、楽しみにしてそれを探すことがおじさんの人生に必要なことになっているからだ。どんな料理でも、おじさんは食べるときによく味わって噛んで、心から褒める。そんなふうにして生活を楽しみ、満足しているような幸せな姿ができるなんて、とても感動的だ。

さまざまな食べ物のほか、生活に対する情熱も快適に感じられる。飲食店は食事客のために食べ物を用意し、食事客は楽しい時間とおいしい食事で満腹になって帰っていく。食べ物は人間の信頼と感情とをつなぐものだ。このような生活はシンプルで暖かいと感じられる。それだけで、簡単な幸せだといえる。

食事は人と人とのつながりだ。例えば、僕の祖父は祖母の作った料理が口に合わないと言っては祖母と喧嘩をしている。しかし、実際には祖母が作ったものを一度は残しても、祖父は必ず次回に食べきってしまう。また、居間でテレビに夢中になっている祖父の姿を見た祖母はペットの犬に向かって、「早く食べなさい!食べないと冷めちゃうよ」と叱る。それを聞いた祖父は何も知らないように黙って食事にくる。

つい最近のことを思い出した。学校の東門の前で果物を売っているおばあさんがいる。昼間の仕事が終わってからしか果物を売らないのは重い病気にかかっている息子さんのためだそうだ。それで、わざわざ東門を経由して果物を買いに行く学生が増えているそうだ。今はおばあさんの売る果物を無料で配達するボランティアグループもできたそうだ。このことを聞くたびに、人間の温かさが感じられ、それが世の中をあたたかくしてくれていることに気づいた。このような果物は格別に甘いのであるまいか。

時には最も簡単な食べ物は最も暖かい食べ物だ。美食は平凡な生活を多彩な世界に変える魔法のようだ。時間や社会に捉われず、幸福に空腹を満たす時、つかの間、彼は自分勝手になり、自由になる。誰にも邪魔されず、気を使わずに物を食うという孤高の行為。私たち一人一人がきちんと食事をするべきで、テンポの速い生活に邪魔されておいしい気持ちを薄めてはいけない。美味しさを味わった後、情熱を抱いて生活しよう。

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