葉が出なくても、花が咲かなくても幸せです

惠州学院 陳漫妮 

 すべてのことが望みどおりになるわけではありませんが、人生は依然として素晴らしいです。これは『コントが始まる』という日本のテレビドラマが、私に教えてくれたことです。春斗、瞬太、潤平からなるお笑いグループ「マクベス」の3人は、十年間もの間、お笑いの夢のために努力しました。しかし、鳴かず飛ばずの日々が続きました。これは、現代の日本青年が夢を追う物語です。  

ある日、潤平がアルバイト中の麻雀店に、高校の後輩と彼の会社の上司たちが来ました。後輩が潤平をしきりに褒めるので、上司たちは潤平に面白いネタを披露するように言いました。突然のことに、潤平は戸惑ってしまいます。すると、上司が「断然俺のほうが面白いもん、あれじゃ売れないわ」と言いました。この一言で、純平の心は折れてしまいました。過去十年を振り返ってみると、彼らは甘えが出ないようにと毎週必ず新作を作り、ネタ合わせをすることを自分たちに課しました。それでも、彼らのコントを見にくる観客はいつもごくわずかでした。潤平が「何でこんなむなしい気持ちになってまで続けんだろう。世間にばかにされて、もう平気じゃないふりすんの疲れたわ」と言いました。潤平は、結局、自分は凡愚にすぎないことに気付いたのです。 

そんな潤平を見て、私は自分の過去を振り返りました。潤平が苦境に陥ったように、私もさまざまな夢を諦めてきました。私はもう大学三年生になります。大学院に進学したいですが、私のような凡骨でもなれますか?きっとだめでしょう。私より優秀な人は数えきれないほどいます。同級生は目覚ましい進歩を遂げています。私はまだ、「自信を失う」という状態にとどまっています。 

十年間もの間、一生懸命努力した「マクベス」でさえ、成功は得られなかったのです。卒業の日が近づくにつれ、私は夢と現実の交差点に立って、前に進むことができません。頑張っても結果が出るとは限らない。この現実を目の当たりにすると、前に進もうとしても足が竦んでしまいます。 

 「やはり大学院進学はやめて社会人になろう」。そう思った瞬間、窓のところにある紫陽花が目に入りました。艶めく若葉が何枚も出ていて、びっくりしました。この紫陽花を育てて1年半になりますが、今まで花は咲きませんでした。 

 花はまだ見えませんが、艶めく若葉が励みになりました。「マクベス」の3人もきっと、そういう気持ちで頑張ってきたのでしょう。花が咲くことばかりをずっと考えていると、その過程の艶めく美しい若葉に出会うことを忘れてしまいます。 

 葉の紋様に沿って、私は考えました。夢を語り合える時間があれば、それだけで幸せです。何も結果が出ないことばかり想像すると、一歩も動けなくなります。一番大切なのは、過程がどのような生彩を放つか、それが尊い人生の記録です。一生懸命努力したら、それで良いのではないでしょうか。花が咲かなくても、幸せを感じることはできるのです。 

 
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