青島理工大学 王昕煒
「やられたらやり返す。倍返しだ!」
これは人気ドラマ『半沢直樹』から学んだ言葉だ。先学期からクラスメートとこのドラマのアフレコを練習していたので、気に入ったのだ。
理由は二つある。一つはドラマのストーリーを活性化することができるからだ。例えば、半沢は仕事上多く挫折している。上司や同僚から軽蔑や皮肉を受けた。もしそのまま何も行動を起こさなかったら、それこそ無味乾燥なものになるだろう。もう一つは、この言葉の響きがいいからだ。響きのいい言葉は、詩歌なんかもそうだが、人の心に届きやすいものだ。
しかし、意味的にはどうだ、あまりよくないじゃないかという人もいるが、私はそう思わない。例えば、いじめ現象のというのは、いじめられ側の原因の一つとして、反撃がないから、いじめがますます酷くなりがちなのだ。
また、大人の世界でも同じことが言える。例えば「黒社会」(暴力団)というものは、まさに一般人の弱点を突いて、不法な利益を得ようとする組織である。もし皆こういうならず者に屈したら、社会全体が弱肉強食の世界に堕落しかねない。
近年、山東省のある事件が報道され、全国から注目された。ある男性は母親が暴力団に侮辱され、脅迫されたのを目の当たりにして、我慢しきれず、暴力団の人を刺して死なせた。最初は殺人罪に問われたが、全国から同情の声があげられ、二審では懲役5年と言い渡された。
かなり極端な例で、法の許す範囲を超えてしまったのはまずい。それでもやはり多くの声援が得られたのは、「やり返す」ことは原理として広く受けいれられていることを証ている。とはいえ、恩返しも仇返しも法の許す範囲内が前提でなければならない。
法の許す範囲内で考えると、「やられたらやり返す。倍返しだ!」というセリフには、不屈の精神が含まれているのだ。我々普通の人々は困難を前にとりわけ屈服しやすいし、口実をつくって逃げ出したい側面がある。ただ、こういう人たちには、道を切り開く勇気が足りず、人格的魅力が足りないのである。その点で、ドラマの主人公の半沢は怖いもの知らず、まったく反対路線で走っていた。
もちろん『半沢直樹』に見られるように、職場だって残酷な一面がある。勇気や知恵がなければ淘汰される運命にある。ここで何よりも重要なのは精神力であろう。
「やられたらやり返す。倍返しだ!」特にこの「倍返しだ」の中にパワーいっぱいに感じられる。
偉大なる作家ヘミングウェーが『老人と海』で書かれた有名な言葉がある。「そりゃ人間は殺されるかもしれない、けれど負けはしないんだぞ」と。この負けない精神と「倍返し」の精神、いずれも我が国の「天行健なり、君子は以て自強して息まず」の精神と通じるところがあるのではなかろうか。