「仮面」を脱いで現実を抱きしめる

126惠州学院 曾秋瑾 

  

人間になるのは難しいから、猫になったほうがいい。『泣きたい私は猫の仮面をかぶる』というアニメは、未来への不安、就職への圧力、両親の期待に翻弄され、逃げ出したいと思っていた私を、非現実的な夢で救ってくれた。 

「生活の中で愛を感じることができない」。このアニメの主人公笹木美代は、「猫になれる仮面」を猫の妖怪からもらい、好きな同級生の日之出に近づき、彼の私生活を覗き見し、楽しく猫として生きているうちに「もう人間はいいや」と思う。すると、美代は「人間の仮面」を落としてしまい、人に戻ることができなくなってしまう。すべてを諦めて猫になった美代は、人の世界とは異なる猫島にやって来た。しかし、そこで美代は人間としてのアイデンティティを見つける。最後は、人間に戻りたいと願うようになった美代を、日之出が救い出すという物語だ。 

「猫になって何が悪いの?」。仮面売りの猫の妖怪がためらう美代に問う。毎日のように毛づくろいをしたり、寝たりして、人間としての悩みは少しもない。私のようにすぐに現実逃避する人は、きっとこのアニメに深く共感するだろう。 

このアニメは日本の現状を反映している。仕事、生活、社交を拒否し、プレッシャーと失敗に立ち向かえない「引きこもり族」は、すべてを諦めて猫島に集まる元人間に非常に似ている。 

私も美代のように、猫になって就職や両親の期待といったストレスを忘れたかった。「卒業=失業」という話をネットで見て、私はそのような苦境に直面することがとても怖くなった。だが、それを打破するために今以上の努力はしたくない。いっそすべての機会と変化を拒否して、猫の仮面をかぶる美代のように悩みを忘れたかった。 

しかし、実は、誰かが自分を愛してくれている。行方不明になった後、美代は家族や日之出が自分を心配して探していることを知り、後悔する。しかし、美代は謎の仮面を売る化け猫を見つけることができず、人間に戻ることができない。そのシーンを見て、私は目がさめた。 

両親が苦労して働いているおかげで、私は今、穏やかにアニメを見て、大学に通い、将来良い仕事を見つけるチャンスもある。しかし、もし私が本当にすべての圧力と機会から逃れることを選択すれば、私は何もできない人になってしまう。それは私が望んでいることではないし、きっと美代のように後悔する。だから、朝早く起きて、忙しさの中にも努力して、良い就職のために資格を取って、実用的な技能を身につけて、専門の能力も強化することから逃げてはいけない。不安や圧力に打ち克たなければならないのだ。 

人生の中の難題に直面した時、どのような態度で迎えればいいのか?猫の仮面をかぶっていてはいけないのだ。非現実的な考えから離脱して、現実を抱きしめる。美代が自らの過ちを認識し、異世界から自分を取り戻したように、私も現実世界に戻り、不安や圧力を受け入れていこうと思う。 

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