普通の人たちの輝き

南京信息工程大学 田佳文 

  

最初に「半沢直樹」を見ようと思ったのは、クラスの男の子たちが「やられたら、やり返す」というセリフの真似をするのをよく聞いたからだ。「どんなドラマが彼らを夢中にさせるのか」という思いで、このドラマを見始めた。 

このドラマは、バブル期に就職したエリート銀行員が、銀行内外の「敵」と戦うというストーリーを軸に展開する。半沢直樹というエリート銀行員が父親の仇を討つために銀行に入行し、次々と問題を見つけては解決し、ついには敵を土下座させる。そして、半沢の口癖は「やられたら、やり返す」 

このドラマを初めて見たとき、こんな人が世の中にいるなんて信じられなかった。半沢はずっとエリートだ。半沢は東大を出たから、日本最高の銀行の一つに入ることができた。半沢は頭がいいから、銀行の裏に潜む闇を見つけることができる。半沢は失敗を恐れない。失業しても家には工場があるからだ。普通の大学を出た私だったら、リベンジの第一歩もできなかっただろう。ましてや上司などの権力者にやり返すなんてできないだろう。 

でも、話が進むにつれて、感動的な話がどんどん出てきた。私が感動したのは、半沢がひとりでやったことではなく、半沢の背後にいる善意に満ちた支持者たちのサポートだ。たとえば、藤沢未樹は半沢の背後にいる支持者の一人だ。彼女は半沢の頑張りに敬服し、愛人の東田のもとで贅沢をするのをやめ、半沢のために情報を伝えて手助けをすることにした。同期の渡真利は友情のために自分の将来を顧みずに半沢を助けてくれた。未樹や渡のように献身的に半沢を助けてくれる人はほかにもたくさんいる。彼らは高学歴でも頭が特別いいわけでもないが、信じるもののために半沢を助けた。 

半沢は決して独断専行の英雄ではない。人を動かして、人の協力を獲得することを知っている。上司の前で自信満々に解説する半沢を見て、私が思ったのは、その背後にある「普通の人たちの努力」だった。これらの普通の人たちの努力は私をとても感動させた。強くて完璧な半沢よりも、普通の人たちのほうが、私にとって共感できる。人びとは、世の中に存在する不公平に対して勇気を持っていないかもしれないが、良い心を維持することができて「半沢」の力になる。こんな善良で頑張っている普通の人たちの方が、身近にたくさんいる。ドラマの中では善悪のはっきりした世界が構築されている。正義を代表する半沢が悪を代表する銀行の上司たちの悪行を暴く。現実にはそこまで善悪がはっきりしているわけではなく、ときに悪の力が優位に立つこともある。しかし、「半沢直樹」のようなドラマは正しい価値観を伝えてくれるし、半沢の陰にいる普通の人たちの努力も、心のやさしさを教えてくれる。 

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