日本との出会い―おいしい話から心へ

閻芊婧 河北大学

 

  「ねね、いつ日本に行く?『孤独のグルメ』を見て日本料理に心を奪われた!」と大学に入ったばかりの頃に友人に誘われた。その頃、私は日本のことをあまり知らなかったし、日本文化を知る機会もなかった。いきなり聞かれて、言葉そのものを勉強するだけでなく、日本を知る必要もあるのではないかと思った。

  そこである夜、日本のことをほとんど知らない私は、好奇心から『孤独のグルメ』を見ることにした。一人で働く主人公の井之頭五郎が、様々な場所で商売をし、仕事の合間にその場所の美味しいものを食べていく物語だ。ドラマの中では、五郎はいつも一人で食事をするが、そのスタイルがとても新鮮だ。彼が夢中になって、食べ物を味わい尽くす姿は一人だからこそ伝わってくる、独特の魅力があるのだと思う。

  料理屋を捜す五郎の歩みに、実際の日本の街並みが見えてくる。ぎっしり立ち並んでいる店や、可愛らしい字の書かれた看板、慌ただしい通行人や、きれいに整備された道など。日本には中華料理店がたくさんあるのを見て、楽しい気持ちがより強くなった。これは飲食文化の交流ではないでしょうか。また、五郎は毎回違った分野のお客と商売をするので、そのやり取りを通じても、日本社会の多彩な姿を垣間見ることができる。画面に映し出される日本の風景やドラマのシーンが、少しずつ頭の中で日本のイメージを描いていく。今まで持っていた日本に対する想像とはまったく違ったものになった。

  ある日本人留学生との経験を思い出した。これまで、私の印象では日本人はとてもシリアスだと思っていたから、初対面ではとても緊張した。しかし、留学生のお姉さんはとても優しく微笑んで、私に話しかけてくれた。そのうち、私を友達のようにして昼食へ引っ張って行った。彼女と食事をするとき、「いただきます」を言うのかな、などと注意したことも、今考えると面白い。

  私たちはまだ何事も知らないうちから、何かステレオタイプのイメージを持っているようだ。しかし、すこし分かってくると、その印象は現実的な世界に姿を変えていく。『孤独のグルメ』は私が日本を知るきっかけになった。ドラマの中のすべての話は日本の印象を生き生きとしたものにしてくれている。

  抗日戦争という不幸な歴史があったため、本能的に相手国の人に悪い印象を持ったり、交流の機会が減ったことは否定できない。しかし今では、インターネットや観光などを通じて、情報や人が海を越え、お互いの国を体験できる機会も増え、相手を理解することに情熱を傾けている人が増えてきていることも事実だ。そして、そのことを私は日本語専攻の学生として非常に嬉しく思う。中国と日本が本当に素晴らしい友好関係を築けるよう、心から願っている。

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