切っても切れない縁

彭依群 海洋大学

 

 日本の河野洋平議長は「日本文化の伝統に中国文化の香りが漂っていることは、日中の間に切っても切れない縁があることの表れである。」と言ったことがある。中国と日本は一衣帯水という関係を持っているが、二千年余りの交流の中で、中国と日本は互いに学ぶことがある。両国は各方面の経験を交換して、それぞれ発展し、進歩してきた。

 大学三年生の時、日本の『小倉百人一首』という和歌集を読んだことがある。『小倉百人一首』はよく日本の「唐詩三百首」と呼ばれる。そのため、この和歌集に興味が深くなる。『小倉百人一首』は藤原定家が京都の小倉山荘で、『万葉集』から『新古今集』までの秀歌から100首を撰集した秀歌撰である。「小倉百人一首」という呼び方は後世の後付けで、古くは「小倉山荘色紙和歌」と呼ばれた。一人一首で、発表の時間を順々に配列されていたことは『小倉百人一首』の最大の特徴であると思われる。和歌の内容によって5つに分類される。それは四季を歌うこと、離別の感情を歌うこと、羇旅の歌、恋の和歌と雑歌である。今様々な種類の百人一首があるが、一般的に「百人一首」と言えば、最も古い『小倉百人一首』のことを指す。

 文学作品は当時の社会のありさま、社会、歴史と思想観念によって形成されるものであると思う。この作品を通じて日本の文化をよく理解することができると思う。また、中国の詩歌は日本の和歌に大きな影響を与えたから、『小倉百人一首』と『唐詩三百首』には色々な共通点がある。そのため、『小倉百人一首』はよく日本の「唐詩三百首」と呼ばれると思う。しかし、両国の国情と美意識には異なるところもあるから、感情を表現する方法と作品の主旨も色々な相違点が生じる。

 例えば、『小倉百人一首』における和歌のテーマから見れば、比重が一番大きいのは恋歌で、43首という数量は約全書の半分を占める。陽成院の「筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞ つもりて 淵となりぬる」という作品は有名な恋歌である。このような熱烈な恋を歌う和歌は『小倉百人一首』の中によく見られる。男性歌人でも女性歌人でも激しい恋を表現した作品がある。歌人たちは大胆に自分の思いを打ち明けることができる。一方、『唐詩三百首』の思いを打ち明ける作品は総体三人称を通じて表現する。特に恋を歌うものを作った作者は自分の気持ちをはっきり表したら、恥ずかしがると思われる。「士大夫」という知識人である作者たちは三人称で作品を作れば自分の感情を打ち明けることもでき、人に陰口を言わないと思われる。

 このような異同点がまだたくさんある。日本語専攻の学生として、読書を通じて中日両国の文化の関係を理解し、日本語の言語能力を高めていきたいという考えもある。中日両国人民の友情を増進することは口先だけでなく、自分の実際行動で、中日両国人民の末永い友好に寄与したいと思う。

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