私の座右の銘

乃佳萱 中南民族大学

 

真夏日にエアコンをつけている部屋で、冷蔵庫の中で半日も寝かせた氷スイカを食べながら、ネット上で話題になっている人気のドラマや映画などをゆったりと観ることは、私にとってこの上なく幸せだと思わざるを得ないぐらい楽しいことである。記憶をさかのぼって、2014年のあの夏の日に食べたスイカの味と堺雅人さんが主役として演じた銀行社員の名セリフもまだ覚えている。

それは「やられたらやり返す、倍返しだ!」というセリフだ。ドラマの名は「半沢直樹」で、その銀行員の名前でもある。半沢直樹がピンチに追い込まれた際に発したこのセリフを初めて聞いたときはとても驚いた。しかもそれはただ自分を慰める弱者の気負った言葉ではなく、彼がそれをモットーにして、行動に移して、敵に目にもの見せるのである。一つの言葉を常に心に留めておき、自分を励まして応援することのできる人はしっかりしている人に違いない。

のんびりとスイカを食べていた私には座右の銘というものを持っているのかと自らに尋ねてみた。6年前に大学二年生であった世間知らずの私に聞いても今の段階では答えられないかもしれないと返事してしまったが、社会人三年目の今の私に聞けば、答えはちゃんとある。私の座右の銘は「自ら選んだ道だから、にじっても這っても最後までやり遂げる」という言葉である。

私は物心がついた頃から、両親はずっと物分りの良い友達のような存在であった。アドバイスもしてくれるが、私の判断を左右し、私の決定に手を出すことはしない。小学校の時犬を飼いたい私に無理だと言わずに、君が飼いたいペットなので、その責任を持ってお世話をしてあげなさいという親からのしつけがあった。放課後一緒に散歩に出かけたり、定期的に入浴を手伝ったりして、楽しかった。大学入学試験の後、人生を決めるとも言える大学や専攻を選ぶ時にも、親は私の決定を支持してくれた。実家から千キロも離れた志望校に通って、帰省は年に二回の休みだけだが、優しい先生と気の合う友達と出会えて、後悔という気持ちが一度もなかった。それから、コロナ禍の中で安定した仕事を辞めて、進学したいという私に対しても親からの批判の声はなかった。

愛犬はもう他界に行ってしまい、友達との連絡も少なくなってきて、今はマイナス収入が続く中、この夏に放送されている「半沢直樹2」に出たあのモットーを徹底している男の顔を見て、私は志を揺るぎないものにする。誰かに押し付けられて不承不承に決めたことでもないし、利害得失を何回も比較したので、後悔せず自ら選んだ道を最後までやり遂げようといつも心の中で呟いて、「やめるな!」という鞭になっている。

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