馬俊睿 西北師範大学

私は大学まで日本語を学んだことがなかった。しかし日本語は、漢字の使用など中国語と共通点があり、学べば学ぶほど面白くなった。できれば日本へ留学したいが、経済的な問題もあって、なかなかチャンスがない。その代わり、日本の小説やドラマを見るようになった。そして『3年A組―今から皆さんは人質です―』というドラマと出逢った。
ドラマは、菅田将暉さん演じる先生が「今から皆さんには、人質になってもらいます。」と生徒達に告げるところから始まる。数名の男子が反抗するが、先生は超人的な強さで、簡単に制圧してしまう。また校舎には爆弾が仕掛けられ、逃げることもできない。そして、先生はネットの中傷が原因で自殺したとされる景山澪奈の名を挙げ、彼女が死んだ本当の原因は何かという問題を出す。そして、不正解なら一人ずつ殺していくと宣言する。
これはサスペンスドラマの展開だ。私は、恋愛ものより、自分で推理できる余地のあるサスペンスのほうが好きなこともあって、第1話から夢中になった。
回を追うにつれ、先生が実は生徒の誰も殺していないことや、先生に真の目的があることが明らかになる。そして真実の先生を知った生徒達も、事件の解明に協力していく。
このドラマは俳優が魅力的なだけでなく、学校のいじめとネットの暴力という二つの現実的問題も背景にしており、その点でも深い感銘を受けた。
私の周りでも、いじめがあった。中学の頃、隣の組の女子生徒がいじめられていた。その発端は知らないし、そもそも理由さえなかったかもしれない。その女子と私は人間関係がなく、私はいじめを止めさせるために何もしなかった。もっとも、もし彼女が私の友達だったとしても、当時の私にいじめを止めさせる勇気があったとは思えない。
ドラマで印象に残ったのは、先生が「Let’s Think」と言う場面だ。「うわべだけで物事を見ないで、よく考えるんだよ!」と、先生は生徒達に叫ぶ。
現代社会には、いじめの伝統的な問題の他にネットの暴力が加わり、被害者がネットで更に傷つけられるという状況がある。その中で、もし友達がいじめられ、しかもネットの暴力まで受けていたら、私はどうするか。
私は考える。いじめを完全に止めさせることはできないかもしれないが、ネットの暴力に対しては、その中傷に何の根拠もないことを明らかにした上で、証拠を集め、理性的に対抗することはできる。その過程で、自分が中傷されることになっても、今度こそ勇気をもって抵抗したい。
それ以上に、被害者に声をかけ、そばに寄り添い、暖かくすることが大切だ。冷淡さは無言の暴力だからだ。ドラマでも、もし景山澪奈の友達がいじめの傍観者でなく、彼女を孤立させなかったら、ネットの中傷があっても彼女は死なずにすんだかもしれないと思う。言葉は誰かを傷つけることも、救うこともできる。
一緒に考えよう。今から皆さんは、当事者だ。