特日格勒 内蒙古大学
大学入学通知書が届いた時、親戚と友達たちから「なぜ日本語を選ぶの?」「なぜそんな就職が難しい専門を選んだの?」「日本語を勉強して、どんな仕事をするつもりなの?」などと問い詰められたことがある。私は好きな日本語と就職難の間で葛藤していた時、偶然に日本の映画「ビリギャル」を見て、意外と心の答えが出てきたのだ。
主人公であるビリギャルは担当の先生に「人間のクズ」と言われたこともあり、母親に勧められて塾への入校を決めた。そこで、自分のことを誉めてくれたり、真剣に向き合ってくれる塾の講師坪田先生や同級生と出会うことができた。そして、「慶應に行きたい」という執念で最後まで勉強を続けた結果、慶應大学に合格した。どんな時でも見捨てず一緒に悩みを乗り越えた彼らの支えがなければ、ビリギャルは諦めてしまうかもしれない。私達も日々の生活の中で、様々な人から恩恵や感謝をこうむりながら生きていると思う。
「君は僕が人生を変えてくれたと言ったけど、君の頑張る姿こそが、いろんな人の人生を変えたんだと思う」という坪田先生の手紙に本当に感動した。忍耐や根性のある人が昔より少なくなってきているといわれる今の時代では、本気で何かに夢中になることの大切さを教えてくれた。私もみなとの出会いに心から感謝している。みんなに出会えたお陰で、私の世界は徐々に広がっていると思う。意志のあるところに道は開けるので、それを信じて生きて行こう。
わたしが特別だと思うのではなく、誰でも同じく可能性を持つということを知って欲しい。成長記録でもある「ビリギャル」は、国境を越えて、受験や人生などに悩み苦しむ中高生に希望を与える作品だと思う。すなわち、日本の映画も、中国人に日本の一面を見せ、日本との接点になっているのだろう。私は友達に日本のアニメを勧められたことで、日本語に興味を持つようになったため、周りの人にも日本のアニメや映画などを推薦し、日本の良い一面を多くの中国人に伝えたい。
領土・領海問題、経済摩擦、歴史認識等様々な問題があり、中日両国の偏見を完全に除去することも容易ではないだろう。しかし、中日両国は一衣帯水の隣国関係であり、お互いに助け合いながら前に進んでいるのではなかろうか。特に、今年の新型コロナウイルスの最中、中日両国はまたお互いに支援物資を送ったりした。「我に投ずるに桃を以ってすれば、これに報ゆるに李を以ってす。」という言葉のように、中国が困難な時期に、日本は助けてくれたので、今度私たちからお恩返しをしたのである。民間交流の力は魔法があると思うから、私もビリギャルのように、自分の選ぶ道をしっかり頑張っていきたいと思っている。微力ながら、日本に対するイメージを変えたい。お互いにもっと理解し合えば、家族をはじめみんなの偏見や心配なども、「意志のあるところに道は開ける」のように、どんどん変わっていくものだと信じている。